独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 4月 2011

指宿 菜の花通信(No.18)「レントゲンは撮りたくありません」

「胸のレントゲンは撮りたくありません」という患者さんに連続して遭遇した。被爆を避けたいからだという、福島原発事故の影響であろう。患者さんの自己決定権は尊重されるので、説明して納得頂けない場合はしないことにしている。こんなところにも影響が及んでいる。

それにしても、3月11日に起こった東日本大震災の惨状は眼を覆うばかりだ。現時点で、死者・行方不明者は合わせて約28,000人と集計されている。想像を絶する大津波に襲われ、根こそぎ集落を壊されてしまった。この地域は過去にも大津波に襲われているので、それなりに備えはなされていた。しかし、その想定をはるかに超える規模で、大災害になってしまった。被災者にかける言葉がない、ただただ、ご冥福と復興を願うばかりだ。

今回の地震、大津波はプレート境界で発生したと考えられている。それだけ見るとプレート運動は災害の元凶であり、なにも良い面はないように考えられる。しかし、「プレートテクトニクスは、生命の要素を作る主たる作用であり、おそらくこれが働かないと生命は生まれない。その作用によって複雑な化学作用が生じ、二酸化炭素のリサイクルが実現して、地球を保護する暖かい毛布が作られるのだ。」(クリス・インピー:すべてはどのように終わるのか、早川書房 P242)という。

地球という惑星に生命が育まれ、人類が発生したのはこのプレートテクトニクスのおかげだと考えられている。その星に我々は生きている、そのことを前提にしなければならないことを思い知らされたということだろう。

福島原発の状況も深刻だ。昨日、事故のある程度の終息に6~9か月かかるとの見込みが示された。原発事故としてはレベル7という最悪の事態で、その最終の終息には10~15年かかるとの見方もある。事故当初、レベル4程度と発表され、今のような重大事態に至るとは発表されなかった。しかし、事態を振り返ると、当初より電源が全て機能しなくなっており、原子炉及び使用済み核燃料を冷やせない状況にあったわけだから、今の事態に至ることは専門家なら判っていたはずである。何故こういう事態に迄至ったのか、十分な検証が必要であろう。

この星・地球には制御できない危険(地震、火山、気候変動、大型隕石落下など)が一杯ある。その中で我々は核物質の最終処理を出来ないまま、核兵器を作り、原発を利用している。この大災害は我々に今一度立ち止まって、今後の「有様」を考えるよう求めているのではなかろうか。

平成23年4月19日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

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指宿 菜の花通信(No.18)「レントゲンは撮りたくありません」

「胸のレントゲンは撮りたくありません」という患者さんに連続して遭遇した。被爆を避けたいからだという、福島原発事故の影響であろう。患者さんの自己決定権は尊重されるので、説明して納得頂けない場合はしないことにしている。こんなところにも影響が及んでいる。

それにしても、3月11日に起こった東日本大震災の惨状は眼を覆うばかりだ。現時点で、死者・行方不明者は合わせて約28,000人と集計されている。想像を絶する大津波に襲われ、根こそぎ集落を壊されてしまった。この地域は過去にも大津波に襲われているので、それなりに備えはなされていた。しかし、その想定をはるかに超える規模で、大災害になってしまった。被災者にかける言葉がない、ただただ、ご冥福と復興を願うばかりだ。

今回の地震、大津波はプレート境界で発生したと考えられている。それだけ見るとプレート運動は災害の元凶であり、なにも良い面はないように考えられる。しかし、「プレートテクトニクスは、生命の要素を作る主たる作用であり、おそらくこれが働かないと生命は生まれない。その作用によって複雑な化学作用が生じ、二酸化炭素のリサイクルが実現して、地球を保護する暖かい毛布が作られるのだ。」(クリス・インピー:すべてはどのように終わるのか、早川書房 P242)という。

地球という惑星に生命が育まれ、人類が発生したのはこのプレートテクトニクスのおかげだと考えられている。その星に我々は生きている、そのことを前提にしなければならないことを思い知らされたということだろう。

福島原発の状況も深刻だ。昨日、事故のある程度の終息に6~9か月かかるとの見込みが示された。原発事故としてはレベル7という最悪の事態で、その最終の終息には10~15年かかるとの見方もある。事故当初、レベル4程度と発表され、今のような重大事態に至るとは発表されなかった。しかし、事態を振り返ると、当初より電源が全て機能しなくなっており、原子炉及び使用済み核燃料を冷やせない状況にあったわけだから、今の事態に至ることは専門家なら判っていたはずである。何故こういう事態に迄至ったのか、十分な検証が必要であろう。

この星・地球には制御できない危険(地震、火山、気候変動、大型隕石落下など)が一杯ある。その中で我々は核物質の最終処理を出来ないまま、核兵器を作り、原発を利用している。この大災害は我々に今一度立ち止まって、今後の「有様」を考えるよう求めているのではなかろうか。

平成23年4月19日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦