独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 10月 2011

指宿 菜の花通信(No.24)「下町ロケット」

最近「下町ロケット」という小説を読んだ。下町の町工場の社長さんが主人公だ。製品を納めていた大企業から、突然「自社で生産することになったので取引を中止したい」と申し渡され、経営上大打撃を受ける。追い打ちをかけるように製品面で競合する一流企業から「あなた方の主要製品は当社の特許を侵害している」と訴えられる。「そんな、とんでもない言いがかりだ」と歯ぎしりするが、訴訟を起こした「一流会社」の目的は訴訟に勝つ事ではなく、言いがかりを付けて町工場の信用を失墜させることにある。

そういう風評の中では銀行の融資もされにくくなる。一流企業の担当者は「これで町工場の経営が経ち行かなくなる、その時点で買収し、町工場の持つ技術もそっくり手に入れる」とうそぶく。「人は法と倫理で生きていくけど、企業は法さえ守れば良い」とも言う。なんだか今起こっている福島原発事故を見ているような感じだ。

離婚した奥さんの紹介した腕利きの弁護士さんが奮闘、この訴訟を何とか乗り切る。今度は町工場の持つロケットエンジン部品の特許を初の国産ロケットの打ち上げを狙う超大企業から狙われる。特許を買い上げると持ちかけられる。主人公は悩んだ末、その特許技術を持ってロケット打ち上げに参加したいと申し入れる。超大企業側は「しがない町工場」の申し入れに怒り狂ってしまう。

しかし、特許は物作りに使ってこそ生きてくる、それに参加してこそ今後の自分たちの物作りが進歩すると考える主人公は粘り強く交渉し、ついにロケットの打ち上げに参加することになる。ついに下町の技術を積んだロケット打ち上げは成功する。まあー、こんな物語だ。

単純な私はこんなストリーが大好きだ。私は昭和44年に医師になった。3年近く鹿児島大学で研修、昭和47年1月から久留米大学で循環器病の研修、昭和48年11月鹿児島大学に帰り、循環器病に一人で取り組み始めた。循環器病の分野は一人でやれるわけもない、若気の至りでそんなことも十分理解していなかった。ただただ循環器病を勉強したいとの思いが強いだけであった。幸いにして、地位も、名誉も、研究費も、何もないところにどういうわけか飛び込んできてくれる仲間がいた。そんな仲間が現在90名もいる。

中小企業どころか零細企業であった我々には様々な「言葉」が浴びせられた。「お前らの循環器病の診療は開業医以下だ」「エコーの機械は殆ど毎日我々が使っている、君たちは金曜日午後だけ使いなさい。夕方は使っても良いけど、自分たちが検査に来たら君たちが検査中でもすぐ立ち退きなさい」「中村は俺の眼の黒いうちは絶対に院長にしない」等々。大企業が零細企業をいじめるのはどこでも変わらない。「権力」は自分の為に使うより、「公と他人」の為に使うとカッコ良いのにと思う。

平成23年10月21日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

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指宿 菜の花通信(No.24)「下町ロケット」

最近「下町ロケット」という小説を読んだ。下町の町工場の社長さんが主人公だ。製品を納めていた大企業から、突然「自社で生産することになったので取引を中止したい」と申し渡され、経営上大打撃を受ける。追い打ちをかけるように製品面で競合する一流企業から「あなた方の主要製品は当社の特許を侵害している」と訴えられる。「そんな、とんでもない言いがかりだ」と歯ぎしりするが、訴訟を起こした「一流会社」の目的は訴訟に勝つ事ではなく、言いがかりを付けて町工場の信用を失墜させることにある。

そういう風評の中では銀行の融資もされにくくなる。一流企業の担当者は「これで町工場の経営が経ち行かなくなる、その時点で買収し、町工場の持つ技術もそっくり手に入れる」とうそぶく。「人は法と倫理で生きていくけど、企業は法さえ守れば良い」とも言う。なんだか今起こっている福島原発事故を見ているような感じだ。

離婚した奥さんの紹介した腕利きの弁護士さんが奮闘、この訴訟を何とか乗り切る。今度は町工場の持つロケットエンジン部品の特許を初の国産ロケットの打ち上げを狙う超大企業から狙われる。特許を買い上げると持ちかけられる。主人公は悩んだ末、その特許技術を持ってロケット打ち上げに参加したいと申し入れる。超大企業側は「しがない町工場」の申し入れに怒り狂ってしまう。

しかし、特許は物作りに使ってこそ生きてくる、それに参加してこそ今後の自分たちの物作りが進歩すると考える主人公は粘り強く交渉し、ついにロケットの打ち上げに参加することになる。ついに下町の技術を積んだロケット打ち上げは成功する。まあー、こんな物語だ。

単純な私はこんなストリーが大好きだ。私は昭和44年に医師になった。3年近く鹿児島大学で研修、昭和47年1月から久留米大学で循環器病の研修、昭和48年11月鹿児島大学に帰り、循環器病に一人で取り組み始めた。循環器病の分野は一人でやれるわけもない、若気の至りでそんなことも十分理解していなかった。ただただ循環器病を勉強したいとの思いが強いだけであった。幸いにして、地位も、名誉も、研究費も、何もないところにどういうわけか飛び込んできてくれる仲間がいた。そんな仲間が現在90名もいる。

中小企業どころか零細企業であった我々には様々な「言葉」が浴びせられた。「お前らの循環器病の診療は開業医以下だ」「エコーの機械は殆ど毎日我々が使っている、君たちは金曜日午後だけ使いなさい。夕方は使っても良いけど、自分たちが検査に来たら君たちが検査中でもすぐ立ち退きなさい」「中村は俺の眼の黒いうちは絶対に院長にしない」等々。大企業が零細企業をいじめるのはどこでも変わらない。「権力」は自分の為に使うより、「公と他人」の為に使うとカッコ良いのにと思う。

平成23年10月21日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦