独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 3月 2012

指宿 菜の花通信(No.30)「田舎医者の流儀(5)・・・肥満・・・人の体・・・経済」

1935年、米国コーネル大学栄養学者クライブ・マッケイ博士は「実験用マウスの摂取カロリーを65%に制限すると平均寿命が2倍近く伸びる」と報告した。その後、様々な動物でカロリー制限により寿命が1.4~1.9倍延びる事が明らかにされてきた。米国・ウイスコンシン大学のチームは76匹のアカゲザルを使って20年間研究し、成人した後(15歳)、通常食群と30%減群に分けて飼育、カロリー制限群はしわや白髪が少なく、生活習慣病や老年病で亡くなる数が1/3に減少、平均寿命も長くなったと発表した(2009年)。

カロリー制限が寿命を延ばすメカニズムについては多くの研究が行われている。ボストン・マサチューセッツ工科大学L・ガレンテ教授は酵母寿命の研究から長寿遺伝子サーチュインを発見した。その後の研究で、サーチュインは様々な長寿を司る遺伝子群を発現させる司令塔であると考えられるようになってきた。カロリー制限によりサーチュインが活性化され、体のエネルギー産生を司るミトコンドリア力をアップし、このことが長寿に結びついていると考えられている。

肥満症では脂肪細胞が肥大化してくる。正常の脂肪細胞はエネルギーの貯蔵庫として中性脂肪を蓄え、動脈硬化を防ぐホルモンを出し、最近ではサーチュインを活性化する物質を出す事も明らかになってきた。一方、肥満した脂肪細胞は血圧を上げ、インスリンの働きを邪魔するホルモンを出し、高血圧症、糖尿病、脂質異常症を悪化させる方向に働く事が明らかになってきた。

世界経済はリーマンショックから十分立ち直れない状況下で、更にギリシャの財政破綻などもあり「二番底」に向かっているのではと懸念されている。現在の経済危機を作り出しているのはどうも金融資本の暴走にあるようだ。金融は正常に機能しているかぎり、実体経済を発展させる方向に働き、新しい産業の創出など経済発展に貢献してきた。しかし、今の過度に肥大化した金融は発展したコンピュ―ターを駆使し、実態に合わない取引を繰り返し、利ざやを稼ぎまくっている。ギリシャの財政破たんを誘導したのも債権隠しを指南し、利ざやを稼いできた投資顧問会社にあるという(ゴールドマン・サックス研究 神谷秀樹 文藝春秋社)。

正常の脂肪細胞は体の機能を保つ方向に働き、一方、過度に肥満した脂肪細胞は体の機能を悪化させる方向に働く。経済における金融も正常に機能しているかぎり、実体経済を発展させる方向に働き、過度に肥大化した金融は経済を食い物にし、破壊する。本来の役割以上に過度に肥大化した「脂肪細胞」と「金融」は「人の体」と「経済」を破壊してしまう点でよく似ている。

平成24年3月6日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

臨床研修体験談(土師 正二郎 先生)

指宿での研修~笑いあり涙あり大漁あり、人の温もりに溢れた2か月~(研修期間 H24.1~H24.2)

土師 正二郎

 2012年1月3日、「どんな出会いが待っているのだろう」と福岡より期待に胸をふくらませ九州を南下した。鹿児島ICをおり一路指宿へ、見えてきた大海原・地平線に胸が高鳴った。指宿に到着し官舎へ、これまた趣があり一人には十分すぎるほどの広さ。鹿児島といえどかなり寒く、早速温泉に入り床についた。
 翌日より循環器科研修医として勤務開始。まず驚いたのが担当患者さんの多さであった。福岡では平均して10人前後しか担当していなかったが、こちらでは引き継ぎの時点で40人程度。把握しきれるか不安になったが、循環器科の優秀な先生方の温かい指導により、徐々にリズムをつかんでいけた。指宿医療センターは主治医制ではなく、スタッフ全員で患者さん全員を見るという体制であった。病棟業務は非常に忙しく、まさに戦場のようであったが、スタッフ全員で一致団結し指宿の医療を良くして行こうという意志が感じられ、非常に刺激的であった。そのおかげで「きつくはあったものの、ストレスは一切なかった」。病院スタッフの皆さんが同じ方向を向いている気がして、心から感銘を受けた。
 次に驚いたのが疾患の幅広さであった。循環器疾患はもちろんのこと、呼吸器・脳循環・膠原病・代謝内分泌・皮膚科等々・・・。先生方の臨床能力の高さに憧れ、ついて行こうとさらにやる気が起きた。実臨床における治療のテクニックや、身体診察能力、穿刺・エコー等の手技、急変時の緊急処置等、様々なことを体で覚えていきそれを実感することができ楽しかった。
 次に驚いたのが各科の垣根の低さであった。医局は1つ、全ての科の先生方が同じ部屋におり短い昼食時間で談笑しながらコンサルトをしていた。研修医は私一人であったのだが、全ての科の先生方が良くして下さり、すぐに馴染むことができた。休日には釣り名人の岩屋先生・鹿島先生・川崎先生とともに東シナ海の一級磯へ上がり、足を引っ張りながらも、人生で感じたことのない強烈な魚の引きを味わい、釣った魚を肴に美味しいお酒をいただいた(休日に当直していただいていた院長先生、すいませんでした)。また、院長先生に開聞岳・唐船峡を案内していただいたり、当直明けには大海原を眺めながら温泉に入ったり、「働くときは働く、遊ぶときは遊ぶ」の教えの元、とにかく充実した毎日を送ることができた。
 病院スタッフの皆さん、地域の皆さん、救急隊の皆さんに支えられ、素晴らしい時間を過ごすことができたと思う。
 最後に、この2か月間を終えて何を得ることができたか考えてみた。臨床知識ももちろんそうであるが、それ以上に都市部の病院では見ることのできなかった「都市部で治療を行った後の患者さんのその後」というものを肌で感じることができた。そこに地域の病院スタッフの弛まぬ支えがあることを知れたことは、今後の人生においてかけがえのない財産になると思う。
 指宿の人々は人柄がよく、美味しいものもきれいな自然もある。忙しいけれど充実しており、様々な疾患も学べる。なにより、素晴らしい人達との出会いがある。医師を志した時の気持ちを思い出し、医師としての心構えの礎を気づくのに最高の機会ではないかと思う
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指宿 菜の花通信(No.30)「田舎医者の流儀(5)・・・肥満・・・人の体・・・経済」

1935年、米国コーネル大学栄養学者クライブ・マッケイ博士は「実験用マウスの摂取カロリーを65%に制限すると平均寿命が2倍近く伸びる」と報告した。その後、様々な動物でカロリー制限により寿命が1.4~1.9倍延びる事が明らかにされてきた。米国・ウイスコンシン大学のチームは76匹のアカゲザルを使って20年間研究し、成人した後(15歳)、通常食群と30%減群に分けて飼育、カロリー制限群はしわや白髪が少なく、生活習慣病や老年病で亡くなる数が1/3に減少、平均寿命も長くなったと発表した(2009年)。

カロリー制限が寿命を延ばすメカニズムについては多くの研究が行われている。ボストン・マサチューセッツ工科大学L・ガレンテ教授は酵母寿命の研究から長寿遺伝子サーチュインを発見した。その後の研究で、サーチュインは様々な長寿を司る遺伝子群を発現させる司令塔であると考えられるようになってきた。カロリー制限によりサーチュインが活性化され、体のエネルギー産生を司るミトコンドリア力をアップし、このことが長寿に結びついていると考えられている。

肥満症では脂肪細胞が肥大化してくる。正常の脂肪細胞はエネルギーの貯蔵庫として中性脂肪を蓄え、動脈硬化を防ぐホルモンを出し、最近ではサーチュインを活性化する物質を出す事も明らかになってきた。一方、肥満した脂肪細胞は血圧を上げ、インスリンの働きを邪魔するホルモンを出し、高血圧症、糖尿病、脂質異常症を悪化させる方向に働く事が明らかになってきた。

世界経済はリーマンショックから十分立ち直れない状況下で、更にギリシャの財政破綻などもあり「二番底」に向かっているのではと懸念されている。現在の経済危機を作り出しているのはどうも金融資本の暴走にあるようだ。金融は正常に機能しているかぎり、実体経済を発展させる方向に働き、新しい産業の創出など経済発展に貢献してきた。しかし、今の過度に肥大化した金融は発展したコンピュ―ターを駆使し、実態に合わない取引を繰り返し、利ざやを稼ぎまくっている。ギリシャの財政破たんを誘導したのも債権隠しを指南し、利ざやを稼いできた投資顧問会社にあるという(ゴールドマン・サックス研究 神谷秀樹 文藝春秋社)。

正常の脂肪細胞は体の機能を保つ方向に働き、一方、過度に肥満した脂肪細胞は体の機能を悪化させる方向に働く。経済における金融も正常に機能しているかぎり、実体経済を発展させる方向に働き、過度に肥大化した金融は経済を食い物にし、破壊する。本来の役割以上に過度に肥大化した「脂肪細胞」と「金融」は「人の体」と「経済」を破壊してしまう点でよく似ている。

平成24年3月6日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

臨床研修体験談(土師 正二郎 先生)

指宿での研修~笑いあり涙あり大漁あり、人の温もりに溢れた2か月~(研修期間 H24.1~H24.2)

土師 正二郎

 2012年1月3日、「どんな出会いが待っているのだろう」と福岡より期待に胸をふくらませ九州を南下した。鹿児島ICをおり一路指宿へ、見えてきた大海原・地平線に胸が高鳴った。指宿に到着し官舎へ、これまた趣があり一人には十分すぎるほどの広さ。鹿児島といえどかなり寒く、早速温泉に入り床についた。
 翌日より循環器科研修医として勤務開始。まず驚いたのが担当患者さんの多さであった。福岡では平均して10人前後しか担当していなかったが、こちらでは引き継ぎの時点で40人程度。把握しきれるか不安になったが、循環器科の優秀な先生方の温かい指導により、徐々にリズムをつかんでいけた。指宿医療センターは主治医制ではなく、スタッフ全員で患者さん全員を見るという体制であった。病棟業務は非常に忙しく、まさに戦場のようであったが、スタッフ全員で一致団結し指宿の医療を良くして行こうという意志が感じられ、非常に刺激的であった。そのおかげで「きつくはあったものの、ストレスは一切なかった」。病院スタッフの皆さんが同じ方向を向いている気がして、心から感銘を受けた。
 次に驚いたのが疾患の幅広さであった。循環器疾患はもちろんのこと、呼吸器・脳循環・膠原病・代謝内分泌・皮膚科等々・・・。先生方の臨床能力の高さに憧れ、ついて行こうとさらにやる気が起きた。実臨床における治療のテクニックや、身体診察能力、穿刺・エコー等の手技、急変時の緊急処置等、様々なことを体で覚えていきそれを実感することができ楽しかった。
 次に驚いたのが各科の垣根の低さであった。医局は1つ、全ての科の先生方が同じ部屋におり短い昼食時間で談笑しながらコンサルトをしていた。研修医は私一人であったのだが、全ての科の先生方が良くして下さり、すぐに馴染むことができた。休日には釣り名人の岩屋先生・鹿島先生・川崎先生とともに東シナ海の一級磯へ上がり、足を引っ張りながらも、人生で感じたことのない強烈な魚の引きを味わい、釣った魚を肴に美味しいお酒をいただいた(休日に当直していただいていた院長先生、すいませんでした)。また、院長先生に開聞岳・唐船峡を案内していただいたり、当直明けには大海原を眺めながら温泉に入ったり、「働くときは働く、遊ぶときは遊ぶ」の教えの元、とにかく充実した毎日を送ることができた。
 病院スタッフの皆さん、地域の皆さん、救急隊の皆さんに支えられ、素晴らしい時間を過ごすことができたと思う。
 最後に、この2か月間を終えて何を得ることができたか考えてみた。臨床知識ももちろんそうであるが、それ以上に都市部の病院では見ることのできなかった「都市部で治療を行った後の患者さんのその後」というものを肌で感じることができた。そこに地域の病院スタッフの弛まぬ支えがあることを知れたことは、今後の人生においてかけがえのない財産になると思う。
 指宿の人々は人柄がよく、美味しいものもきれいな自然もある。忙しいけれど充実しており、様々な疾患も学べる。なにより、素晴らしい人達との出会いがある。医師を志した時の気持ちを思い出し、医師としての心構えの礎を気づくのに最高の機会ではないかと思う