独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 5月 2012

指宿 菜の花通信(No.33)「田舎医者の流儀(8)・・・御節介やき」

「地域医療の崩壊」と言われだして10年近くなる、事態は改善の兆候を認めない。平成16年に新臨床研修医制度が発足し、地方から大都会の病院、大学病院から市中病院への若手医師のシフトが起こった。平成16年、鹿児島県の初期臨床研修医は104名、鹿児島大学病院は85名であったが、平成21年はそれぞれ54名と22名に激減した。この制度を作った厚生省とそれを支えた大都会、大病院の先生方の目論見は大成功だったのかも知れない。

そのしわ寄せは地方の病院に顕著に現れた。鹿児島県の場合、医師派遣機能を持つのは大学病院のみである。その大学病院の若手医師が激減し、地方の基幹病院への医師派遣が出来なくなった。鹿児島県北部の市立病院は37名いた医師が平成23年には16名になり、当院は22名から14名まで減ってしまった。その他の地方の基幹病院は一部の例外を除き、診療機能を維持できないところまで減った。大隅半島の某医師会病院は標欠の危機(基準の医師数がないと病床を維持できない)に追い込まれている。

地域の医療を支えてきた開業医も厳しくなってきた。大隅半島南の町では元々2軒あった開業医が閉院し、6~7年前にある医師が開業したがこれも昨年閉院、今は週数回の昼間外来の診療所があるのみである。「現地懇談会」で、4人の子育てをしているお母さんが「夜になって子供の具合が悪くなり、鹿屋まで1時間かけて受診をしないといけない、近くに医師がいると安心して、子育てが出来るのに」と話していた。今は地方の中核的病院の医師不足が問題になっているが、現実はもっと深刻で、地域医療を支えた開業医制度の崩壊が起こりつつある。人口減で「後継者」がいても、そこでの医業が成り立たなくなり廃院に至っているケースが目立ってきている。

鹿児島市は医師数、医療機関ともに多いが、基幹的病院の数、整備が十分ではない。鹿児島市には400~500床以上の病院は大学病院と市立病院しかない、隣の熊本県は400~500床以上の高機能病院が6つもある。鹿児島市の公的病院は日赤病院120床、済生会病院70床、逓信病院50床と小規模である。研修医が鹿児島から出て行った遠因として、基幹病院が育っていなかった事もある。

10、20年先を考え、鹿児島の地域医療をどう構築していくのか、誰かが絵柄を描かないといけない。この年齢になった我々世代が後輩に何を残すのか、あえて御節介をやこうと思っている。

平成24年5月16日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

当院について 院長あいさつ ロゴマークについて 新病棟のご紹介 病院の理念 病院概要 地域医療支援病院 鹿児島県がん診療指定病院 開放型病院 指宿医療センターヘリポート 臨床研修 地域医療研修センター 情報公開 個人情報ファイル管理簿 文書ファイル管理簿 「情報公開・個人情報保護総合案内所」に関する広報 法令違反に関する外部からの通報手続きについて 節電行動計画 バリアフリー情報 出前講座 絵画展示のご案内 イベントカレンダー DPCデータによる当院の病院指標 平成27年度 病院指標 平成28年度 病院指標 ボランティア募集 新病棟建設工事の進捗状況 医師募集
診療科紹介 消化器科 循環器科 総合診療内科 小児科 外科 泌尿器科 産婦人科 麻酔科 眼科
部門紹介 看護部 看護部の概要 教育体制 看護単位(病棟)の紹介 薬剤科 治験管理室 診療放射線科 研究検査科 栄養管理室 リハビリテーション科 医療安全管理室 地域医療連携室 ひなぎく病児保育室
外来のご案内 外来を受診される方へ 外来案内図 今月の外来担当医師 文書料および予防接種料 セカンドオピニオン 人間ドック 専門外来担当医師・診療時間 物忘れ外来 母乳外来 遺伝カウンセリング外来
入院のご案内 初めて入院される方へ 病棟案内図
コラム 目の前で人が倒れたら? 子どもの病気について 月経困難症について 女性ホルモンと骨粗しょう症について これからママになるみなさんへ たばこの害について
お知らせ アクセス お問い合わせ 採用情報 プライバシーポリシー サイトマップ
独立行政法人国立病院機構指宿医療センター
891-0498 鹿児島県指宿市十二町4145
【電話】
0993-22-2231 【FAX】0993-22-3149(ファックス) 【地域医療連携室FAX】0993-22-2772

Back to top

Copyright © 2013 National Hospital Organization Ibusuki Medical Center All Rights Reserved.

指宿 菜の花通信(No.33)「田舎医者の流儀(8)・・・御節介やき」

「地域医療の崩壊」と言われだして10年近くなる、事態は改善の兆候を認めない。平成16年に新臨床研修医制度が発足し、地方から大都会の病院、大学病院から市中病院への若手医師のシフトが起こった。平成16年、鹿児島県の初期臨床研修医は104名、鹿児島大学病院は85名であったが、平成21年はそれぞれ54名と22名に激減した。この制度を作った厚生省とそれを支えた大都会、大病院の先生方の目論見は大成功だったのかも知れない。

そのしわ寄せは地方の病院に顕著に現れた。鹿児島県の場合、医師派遣機能を持つのは大学病院のみである。その大学病院の若手医師が激減し、地方の基幹病院への医師派遣が出来なくなった。鹿児島県北部の市立病院は37名いた医師が平成23年には16名になり、当院は22名から14名まで減ってしまった。その他の地方の基幹病院は一部の例外を除き、診療機能を維持できないところまで減った。大隅半島の某医師会病院は標欠の危機(基準の医師数がないと病床を維持できない)に追い込まれている。

地域の医療を支えてきた開業医も厳しくなってきた。大隅半島南の町では元々2軒あった開業医が閉院し、6~7年前にある医師が開業したがこれも昨年閉院、今は週数回の昼間外来の診療所があるのみである。「現地懇談会」で、4人の子育てをしているお母さんが「夜になって子供の具合が悪くなり、鹿屋まで1時間かけて受診をしないといけない、近くに医師がいると安心して、子育てが出来るのに」と話していた。今は地方の中核的病院の医師不足が問題になっているが、現実はもっと深刻で、地域医療を支えた開業医制度の崩壊が起こりつつある。人口減で「後継者」がいても、そこでの医業が成り立たなくなり廃院に至っているケースが目立ってきている。

鹿児島市は医師数、医療機関ともに多いが、基幹的病院の数、整備が十分ではない。鹿児島市には400~500床以上の病院は大学病院と市立病院しかない、隣の熊本県は400~500床以上の高機能病院が6つもある。鹿児島市の公的病院は日赤病院120床、済生会病院70床、逓信病院50床と小規模である。研修医が鹿児島から出て行った遠因として、基幹病院が育っていなかった事もある。

10、20年先を考え、鹿児島の地域医療をどう構築していくのか、誰かが絵柄を描かないといけない。この年齢になった我々世代が後輩に何を残すのか、あえて御節介をやこうと思っている。

平成24年5月16日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦