独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 9月 2012

指宿 菜の花通信(No.37)「田舎医者の流儀(12)・・・総合内科医」

最近、総合内科医の専門医資格のあり方が、議論されている。私は鹿児島医療センターを定年退官となり、同じ国立病院機構、指宿病院に非常勤医として、週に3日働いている。平成21年4月、本病院田中院長より、「総合内科医」として任用するとの辞令を受け、4年目になる。

総合内科医は、テレビ的には格好よく描かれていて、研修医や医学生が憧れる存在の様だ。しかし、現実は、それほどカッコ良い立場ではない。地方の中核的病院という条件のもとで、私の総合内科医としての日常は、循環器、消化器、神経内科の専門医がいるので、それ以外の患者さんが回ってくる。となると、総合内科に来る患者さんは、風邪ひき、健康診断、人間ドックの説明などが主になる。それぞれは重要だと思うが、どちらかというと医師としての技量を発揮することの少ない状況であり、15~20名とそういう患者さんが続くと少々いやになる。

私は、循環器専門医として40年近く働き、年齢も65歳を超え、総合内科医として働いた方が全体のためになるのではと思い、そういう方向性を選んだ。循環器専門医として働いてきた経過があるので、風邪を診ても「心筋炎は見逃さないぞ」等という「楽しみ」がある。しかし、今の私のような状況を、そのまま若い先生方がやって、医師としてのモチベーションを保てるか心配する。

ただ、総合内科医に楽しみがないかと言うと、そうではない。先日、冠攣縮性狭心症で、経過を診ている70代の男性が、多発性の関節痛、手背、足背の浮腫を訴えて来院、CRPが8近くあり、白血球も1万近くに上がっていた。リューマチ系の疾患を考え、整形外科に紹介したが、リューマチ反応が出ないことより、尿路感染症(?)として、抗生剤を投与され帰ってきた。しかし、それで症状は改善せず、CRPも高値のままで、納得できなかったので、内科のリューマチ系の専門医に紹介した。結果はRS3PE症候群が考えられるとの返事であった。

今まで、聞いたこともない症候群で、調べてみると、対称性多発滑膜炎(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)という疾患概念で、この患者さんの病態を良く説明していた。

疑問と思った事を追及し、専門家の力を借りると、患者さんの要求に答えられる事に新鮮な喜びを感じる。43年間も内科医をやっても、初めて出会う疾患がある事は、総合内科を担当したからかもしれない。それでも、私は若い先生方は自分の専門分野を持った総合内科医を目指すように勧める。この分野は誰にも負けないぞという部分がないと、40数年を越す長い医師生活を続けることは難しいように思う。

平成24年9月18日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

臨床研修体験談(鍋嶋 洋裕 先生)

指宿医療センターでの研修を終えて(研修期間 H24.7~H24.8)

九州医療センター 二年次研修医 鍋嶋 洋裕

 九州医療センター臨床研修プログラム内の地域医療の枠で指宿医療センターで2ヶ月間の研修をさせていただき、かけがえの無い経験を数多くさせていただきました。7月から8月の2ヶ月間にお世話になった感想を書かせていただきます。
 そもそも私が地域医療研修先で指宿医療センターを選ばさせていただいたのは、
  1. 循環器内科医志望であり指宿医療センターが循環器に力を入れている病院だと伺っていた
  2. プライマリーケアを学ぶのに1ヶ月間ではあまりに短いと考えており、九州医療センターでは指宿医療センターのみ2ヶ月間研修できる
  3. 学生時代を過ごしたことのある鹿児島にもう一度住みたかった
などが理由でした。いずれの点においても良い意味で期待を裏切られる毎日でした。
 まず7月は循環器内科をローテートさせていただきました。設備という点で恵まれた病院でしか働いたことの無い私にとって、カテーテル室が無い循環器病院がどのような診療をされてあるのかは全く想像がつきませんでした。しかしそれを補っているのは、働いている先生方の臨床力なのだとすぐに気がつかされました。患者さんを隅々まで見る目であり、聴診する耳、行える検査で最大限診断に近づけるためのアイデア・思考力、患者さんの本当の意向を汲み取るインフォームド・コンセントなどなど、今まで電子カルテに向かってばかり働いていた私には圧倒的に足りていない手間・能力をまざまざと見せつけられました。 今年度中に念願のカテーテル室も増設されるとのことで、まさに鬼に金棒となった指宿医療センターで再び働けたらと強く思いました。
 何より、一番驚いたのは”循環器科”である先生方が蜂窩織炎でパンパンの足を治療し、腰椎圧迫骨折の初療を行い、脳出血をめざとく見つけ鹿児島市に救急搬送するといったgeneralistぶりでした。指宿医療センターが指宿の基幹病院であり、地域を支える砦でもあるといった気概を持ち、専門外でも厭わず積極的に”患者”に関わる姿に医療の有るべき姿というものを再度考えさせられました。
 次の8月はプライマリーケアを学ぶという点で、自分自身が消化管領域に携わったことが無かったという経緯からも外科をローテートさせていただきました。
外科の先生方の携わられている領域も非常に広く、消化管、肝胆膵、呼吸器、乳腺、果てには外傷、熱傷まで治療されていることには驚きを隠せませんでした。様々な手術に入らせていただいただけでなく、先生方は本当に教育熱心で外科のエッセンスを教えようという心意気には感謝しきりでした。硬いお腹と硬くないお腹との違いをわかりやすく教えていただいたりと、今後の診療の糧になったと確信しています。
 外科の先生方も患者さんやスタッフからの信頼が厚く、その理由はやはりベッドサイドでの医療を実践されていることによるものだと気づかされました。毎朝行われる回診では、時間を惜しむことなく患者さんとコミュニケーションをとられていました。ローテートさせて頂いた一ヶ月間では回診が最も学ぶところが大きかったと思っています。
 また、消化器内科と外科に限らず全科間の垣根は無いに等しく、皆で飲み会が出来る規模であることの長所が最大限に活かされていると感じました。
 以上、長くなりましたが、先生方やスタッフの皆さんはなぜこんなに優しいのかと思うほど親切で気持ちよく研修をさせて頂きました。おいしいお店にも連れて行って頂いたり、飲み会の席で皆さんにプロポーズの方策を一緒に練って頂いたりと本当に思い出深い2ヶ月間でした。
 臨床力を伸ばしたい、プライマリーケアを学びたいと考えている研修医の皆さんには絶対にお勧めの研修病院です!勉強になり、楽しく、美味しく、湯けむりな2ヶ月間となることを約束します!
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指宿 菜の花通信(No.37)「田舎医者の流儀(12)・・・総合内科医」

最近、総合内科医の専門医資格のあり方が、議論されている。私は鹿児島医療センターを定年退官となり、同じ国立病院機構、指宿病院に非常勤医として、週に3日働いている。平成21年4月、本病院田中院長より、「総合内科医」として任用するとの辞令を受け、4年目になる。

総合内科医は、テレビ的には格好よく描かれていて、研修医や医学生が憧れる存在の様だ。しかし、現実は、それほどカッコ良い立場ではない。地方の中核的病院という条件のもとで、私の総合内科医としての日常は、循環器、消化器、神経内科の専門医がいるので、それ以外の患者さんが回ってくる。となると、総合内科に来る患者さんは、風邪ひき、健康診断、人間ドックの説明などが主になる。それぞれは重要だと思うが、どちらかというと医師としての技量を発揮することの少ない状況であり、15~20名とそういう患者さんが続くと少々いやになる。

私は、循環器専門医として40年近く働き、年齢も65歳を超え、総合内科医として働いた方が全体のためになるのではと思い、そういう方向性を選んだ。循環器専門医として働いてきた経過があるので、風邪を診ても「心筋炎は見逃さないぞ」等という「楽しみ」がある。しかし、今の私のような状況を、そのまま若い先生方がやって、医師としてのモチベーションを保てるか心配する。

ただ、総合内科医に楽しみがないかと言うと、そうではない。先日、冠攣縮性狭心症で、経過を診ている70代の男性が、多発性の関節痛、手背、足背の浮腫を訴えて来院、CRPが8近くあり、白血球も1万近くに上がっていた。リューマチ系の疾患を考え、整形外科に紹介したが、リューマチ反応が出ないことより、尿路感染症(?)として、抗生剤を投与され帰ってきた。しかし、それで症状は改善せず、CRPも高値のままで、納得できなかったので、内科のリューマチ系の専門医に紹介した。結果はRS3PE症候群が考えられるとの返事であった。

今まで、聞いたこともない症候群で、調べてみると、対称性多発滑膜炎(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)という疾患概念で、この患者さんの病態を良く説明していた。

疑問と思った事を追及し、専門家の力を借りると、患者さんの要求に答えられる事に新鮮な喜びを感じる。43年間も内科医をやっても、初めて出会う疾患がある事は、総合内科を担当したからかもしれない。それでも、私は若い先生方は自分の専門分野を持った総合内科医を目指すように勧める。この分野は誰にも負けないぞという部分がないと、40数年を越す長い医師生活を続けることは難しいように思う。

平成24年9月18日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

臨床研修体験談(鍋嶋 洋裕 先生)

指宿医療センターでの研修を終えて(研修期間 H24.7~H24.8)

九州医療センター 二年次研修医 鍋嶋 洋裕

 九州医療センター臨床研修プログラム内の地域医療の枠で指宿医療センターで2ヶ月間の研修をさせていただき、かけがえの無い経験を数多くさせていただきました。7月から8月の2ヶ月間にお世話になった感想を書かせていただきます。
 そもそも私が地域医療研修先で指宿医療センターを選ばさせていただいたのは、
  1. 循環器内科医志望であり指宿医療センターが循環器に力を入れている病院だと伺っていた
  2. プライマリーケアを学ぶのに1ヶ月間ではあまりに短いと考えており、九州医療センターでは指宿医療センターのみ2ヶ月間研修できる
  3. 学生時代を過ごしたことのある鹿児島にもう一度住みたかった
などが理由でした。いずれの点においても良い意味で期待を裏切られる毎日でした。
 まず7月は循環器内科をローテートさせていただきました。設備という点で恵まれた病院でしか働いたことの無い私にとって、カテーテル室が無い循環器病院がどのような診療をされてあるのかは全く想像がつきませんでした。しかしそれを補っているのは、働いている先生方の臨床力なのだとすぐに気がつかされました。患者さんを隅々まで見る目であり、聴診する耳、行える検査で最大限診断に近づけるためのアイデア・思考力、患者さんの本当の意向を汲み取るインフォームド・コンセントなどなど、今まで電子カルテに向かってばかり働いていた私には圧倒的に足りていない手間・能力をまざまざと見せつけられました。 今年度中に念願のカテーテル室も増設されるとのことで、まさに鬼に金棒となった指宿医療センターで再び働けたらと強く思いました。
 何より、一番驚いたのは”循環器科”である先生方が蜂窩織炎でパンパンの足を治療し、腰椎圧迫骨折の初療を行い、脳出血をめざとく見つけ鹿児島市に救急搬送するといったgeneralistぶりでした。指宿医療センターが指宿の基幹病院であり、地域を支える砦でもあるといった気概を持ち、専門外でも厭わず積極的に”患者”に関わる姿に医療の有るべき姿というものを再度考えさせられました。
 次の8月はプライマリーケアを学ぶという点で、自分自身が消化管領域に携わったことが無かったという経緯からも外科をローテートさせていただきました。
外科の先生方の携わられている領域も非常に広く、消化管、肝胆膵、呼吸器、乳腺、果てには外傷、熱傷まで治療されていることには驚きを隠せませんでした。様々な手術に入らせていただいただけでなく、先生方は本当に教育熱心で外科のエッセンスを教えようという心意気には感謝しきりでした。硬いお腹と硬くないお腹との違いをわかりやすく教えていただいたりと、今後の診療の糧になったと確信しています。
 外科の先生方も患者さんやスタッフからの信頼が厚く、その理由はやはりベッドサイドでの医療を実践されていることによるものだと気づかされました。毎朝行われる回診では、時間を惜しむことなく患者さんとコミュニケーションをとられていました。ローテートさせて頂いた一ヶ月間では回診が最も学ぶところが大きかったと思っています。
 また、消化器内科と外科に限らず全科間の垣根は無いに等しく、皆で飲み会が出来る規模であることの長所が最大限に活かされていると感じました。
 以上、長くなりましたが、先生方やスタッフの皆さんはなぜこんなに優しいのかと思うほど親切で気持ちよく研修をさせて頂きました。おいしいお店にも連れて行って頂いたり、飲み会の席で皆さんにプロポーズの方策を一緒に練って頂いたりと本当に思い出深い2ヶ月間でした。
 臨床力を伸ばしたい、プライマリーケアを学びたいと考えている研修医の皆さんには絶対にお勧めの研修病院です!勉強になり、楽しく、美味しく、湯けむりな2ヶ月間となることを約束します!