独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 10月 2012

指宿 菜の花通信(No.38)「田舎医者の流儀(13)・・・うまくいくはずがない」

京都大学山中伸弥教授がiPS細胞作成という生物学の常識を覆すような成果により、ケンブリッジ大学ジョン・ガードン教授と共にノーベル医学生理学賞を受賞し、日本中が沸き立った。「うまくいくはずがないと思ったが、迫力に感心した」。2003年、山中伸弥教授が科学技術振興機構の研究費(5年間で3億円)を獲得した際に、審査・面接した岸本忠三・大阪大学元学長の言葉である(毎日新聞10/9)。ご自身も超一流の研究者である岸本先生が、額面通り「うまくいくはずがない」研究に、3億円ものお金を出すはずがない、何か先生の心に触れるものがあったのだろう。いずれにしろ、この研究費獲得が、研究を続け、進める基盤になった。岸本先生は山中教授のノーベル賞受賞の影の立役者の一人ではなかろうか。

研究生活に没頭するには、いろいろな条件が必要であるが、家族の理解もその一つである。山中先生の場合、奥様が医者で「家の経済」のことを含め理解があったのではなかろうか。世間は医者の給料は高いと誤解しているけれど、国立大学医学部・病院、新任50歳位の教授は、年収1000万位である。過酷な研究・臨床を行い、選ばれて教授になっても、公務員の給料であるので、それ位のものだ。この給与では、大学医学部の教授に優秀な人材が集まらなく可能性がある。山中教授の給与は、研究所所長の肩書があるので、それより少々高いかもしれないが、決して恵まれているわけではない。奥様が山中教授の研究を支えているとも言える。

これほどの研究で、今後の臨床応用の可能性も高い、入ってくる特許料も半端な額ではないと考えられる。しかし、山中教授は個人のものにせず、京都大学が保有する方向のようだ。他で押さえられると、研究・臨床応用が阻害されることを危惧しているようだ。欧米の学者なら間違いなく、個人の特許になり、膨大な特許料が入ることになる。山中教授は国から研究費を頂いて、研究した成果であるので、そうした方向にしたとも語っている。「金儲けをして、何が悪い」と開き直っている今風の金至上主義の方々には理解出来ない話であろう。さわやかである。

新臨床研修制度が平成16年度に始まったが、それ以降、基礎医学の分野に進む医師が極端に少なくなった。鹿児島大学ではここ数年、殆どいない。我々の世代では、一学年に数名は基礎医学の分野に進み、研究者になっていた。今の制度では卒業後、2年間臨床研修することが義務付けられたので、その間に基礎の研究者になろうとするモチベーションが失われるようだ。厳しい道ではあるが、山中教授のような道もあり、医学・医療の根本を変える仕事もあることを、若い医学生、医師がこれを機会にもう一度見直して欲しいと思う。

平成24年10月30日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

臨床研修体験談(松田 洋彰 先生)

地域医療:指宿医療センターでの臨床研修(研修期間 H24.8~H24.9)

九州医療センター初期臨床研修医2年次 松田 洋彰

 私は九州医療センターの臨床研修の一環である地域医療で初期研修の4月の時点で指宿医療センターに行くことをすでに決めていました。というのも自分が循環器内科志望であり、指宿医療センターは循環器指定病院に登録されていることを知っていたからです。
 私が1年目のときの2年目の先輩が当院からの初めての派遣医であり、その方にどのような病院であったか尋ねたところ、非常に好印象であったことを聞いていました。
 初期臨床研修医2年次の8月にいよいよ指宿医療センターに赴任することになり、希望と不安で胸が一杯でした。私は8月に循環器内科、9月には消化器内科でお世話になりました。以下、お世話になった科を中心に自分の感想を徒然なるままに綴りたいと思います。
 まず、循環器内科です。自由にやらせてもらえたこともあり、とにかく仕事が楽しかった、この一言に尽きます。私がいた時期にはまだ設備が整っておらず、心臓カテーテル検査や冠動脈インターベンションはできませんでしたが、12月から新たに始めるということなので、これから研修する方にはさらに有意義な研修になると思います。手技的には心エコーを中心に、適切な指導の下で中心静脈穿刺や胸腔ドレーンなど幅広くやらせてもらえます。内科的には院長回診で心不全の大家である田中院長の貴重なご意見を聞くことができ、またいつでも鹿島統括診療部長に心臓のみでなく「患者自体を診る」総合内科的な観点を学べ、充実した指導環境にあると言えます。循環器内科あるいは心臓外科志望の方には是非おすすめしたい病院です。
 次に消化器内科です。消化器内科では上部消化管内視鏡を多く経験させていただきました。朝は内視鏡及び腹部エコー、昼から病棟の受け持ち患者を診るといったスケジュールでした。消化器内科はとにかく上級医の先生方が優しく、経験と確固たるエビデンスに基付く指導で座学では学べないことを多く学べます。自身が苦手で嫌いだった消化器をプライマリケアから丁寧に教えていただき、いつの間にか最もお世話になった藤田指導医(消化器)に憧れの念を抱くようになりました。
 その他にも当直のときにはいろいろな先生にお世話になり、多くを学ばせていただきました。
 今、地域医療の研修を終え、やはり指宿医療センターを選択したことは間違ってなかったと断言できます。一つ言えることは指宿医療センターでの研修は最高であったということです。みなさんもモチベーションの高い環境で切磋琢磨し、疲れたときには温泉で癒すことのできる指宿医療センターで研修をしてみてはいかがでしょうか。
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指宿 菜の花通信(No.38)「田舎医者の流儀(13)・・・うまくいくはずがない」

京都大学山中伸弥教授がiPS細胞作成という生物学の常識を覆すような成果により、ケンブリッジ大学ジョン・ガードン教授と共にノーベル医学生理学賞を受賞し、日本中が沸き立った。「うまくいくはずがないと思ったが、迫力に感心した」。2003年、山中伸弥教授が科学技術振興機構の研究費(5年間で3億円)を獲得した際に、審査・面接した岸本忠三・大阪大学元学長の言葉である(毎日新聞10/9)。ご自身も超一流の研究者である岸本先生が、額面通り「うまくいくはずがない」研究に、3億円ものお金を出すはずがない、何か先生の心に触れるものがあったのだろう。いずれにしろ、この研究費獲得が、研究を続け、進める基盤になった。岸本先生は山中教授のノーベル賞受賞の影の立役者の一人ではなかろうか。

研究生活に没頭するには、いろいろな条件が必要であるが、家族の理解もその一つである。山中先生の場合、奥様が医者で「家の経済」のことを含め理解があったのではなかろうか。世間は医者の給料は高いと誤解しているけれど、国立大学医学部・病院、新任50歳位の教授は、年収1000万位である。過酷な研究・臨床を行い、選ばれて教授になっても、公務員の給料であるので、それ位のものだ。この給与では、大学医学部の教授に優秀な人材が集まらなく可能性がある。山中教授の給与は、研究所所長の肩書があるので、それより少々高いかもしれないが、決して恵まれているわけではない。奥様が山中教授の研究を支えているとも言える。

これほどの研究で、今後の臨床応用の可能性も高い、入ってくる特許料も半端な額ではないと考えられる。しかし、山中教授は個人のものにせず、京都大学が保有する方向のようだ。他で押さえられると、研究・臨床応用が阻害されることを危惧しているようだ。欧米の学者なら間違いなく、個人の特許になり、膨大な特許料が入ることになる。山中教授は国から研究費を頂いて、研究した成果であるので、そうした方向にしたとも語っている。「金儲けをして、何が悪い」と開き直っている今風の金至上主義の方々には理解出来ない話であろう。さわやかである。

新臨床研修制度が平成16年度に始まったが、それ以降、基礎医学の分野に進む医師が極端に少なくなった。鹿児島大学ではここ数年、殆どいない。我々の世代では、一学年に数名は基礎医学の分野に進み、研究者になっていた。今の制度では卒業後、2年間臨床研修することが義務付けられたので、その間に基礎の研究者になろうとするモチベーションが失われるようだ。厳しい道ではあるが、山中教授のような道もあり、医学・医療の根本を変える仕事もあることを、若い医学生、医師がこれを機会にもう一度見直して欲しいと思う。

平成24年10月30日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

臨床研修体験談(松田 洋彰 先生)

地域医療:指宿医療センターでの臨床研修(研修期間 H24.8~H24.9)

九州医療センター初期臨床研修医2年次 松田 洋彰

 私は九州医療センターの臨床研修の一環である地域医療で初期研修の4月の時点で指宿医療センターに行くことをすでに決めていました。というのも自分が循環器内科志望であり、指宿医療センターは循環器指定病院に登録されていることを知っていたからです。
 私が1年目のときの2年目の先輩が当院からの初めての派遣医であり、その方にどのような病院であったか尋ねたところ、非常に好印象であったことを聞いていました。
 初期臨床研修医2年次の8月にいよいよ指宿医療センターに赴任することになり、希望と不安で胸が一杯でした。私は8月に循環器内科、9月には消化器内科でお世話になりました。以下、お世話になった科を中心に自分の感想を徒然なるままに綴りたいと思います。
 まず、循環器内科です。自由にやらせてもらえたこともあり、とにかく仕事が楽しかった、この一言に尽きます。私がいた時期にはまだ設備が整っておらず、心臓カテーテル検査や冠動脈インターベンションはできませんでしたが、12月から新たに始めるということなので、これから研修する方にはさらに有意義な研修になると思います。手技的には心エコーを中心に、適切な指導の下で中心静脈穿刺や胸腔ドレーンなど幅広くやらせてもらえます。内科的には院長回診で心不全の大家である田中院長の貴重なご意見を聞くことができ、またいつでも鹿島統括診療部長に心臓のみでなく「患者自体を診る」総合内科的な観点を学べ、充実した指導環境にあると言えます。循環器内科あるいは心臓外科志望の方には是非おすすめしたい病院です。
 次に消化器内科です。消化器内科では上部消化管内視鏡を多く経験させていただきました。朝は内視鏡及び腹部エコー、昼から病棟の受け持ち患者を診るといったスケジュールでした。消化器内科はとにかく上級医の先生方が優しく、経験と確固たるエビデンスに基付く指導で座学では学べないことを多く学べます。自身が苦手で嫌いだった消化器をプライマリケアから丁寧に教えていただき、いつの間にか最もお世話になった藤田指導医(消化器)に憧れの念を抱くようになりました。
 その他にも当直のときにはいろいろな先生にお世話になり、多くを学ばせていただきました。
 今、地域医療の研修を終え、やはり指宿医療センターを選択したことは間違ってなかったと断言できます。一つ言えることは指宿医療センターでの研修は最高であったということです。みなさんもモチベーションの高い環境で切磋琢磨し、疲れたときには温泉で癒すことのできる指宿医療センターで研修をしてみてはいかがでしょうか。