独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 12月 2012

指宿 菜の花通信(No.39)「田舎医者の流儀(14)・・・誰がやるの」

日曜日午後、新幹線の中、岡山に向かう車中。夜、医学生4名と会う予定、彼らは鹿児島県出身、その地の医大で勉強中の学生だ。県庁の保健福祉部地域整備課の二人と、本県の初期臨床研修病院の説明をし、懇談する予定。目的は鹿児島に帰って、初期臨床研修を受けるように勧めること。今年の研修医は90名まで回復したが、来年に向けての最終マッチ者数は87名で、来年は80名前後と10名位減りそうな状況にある。新しい臨床研修制度が始まる平成16年以前は100名前後の新人医師が鹿児島に残っていた。それ以後、研修医が減り続け、平成21年には54名と半減してしまった。新人医師の減少の影響を受けて、鹿児島市以外の地方の病院は深刻な医師不足に陥り、地域医療は崩壊の危機にある。

半減していた研修医が今年は90名まで回復し、我々の対策はそれなりに効果を上げているが、来年は80名前後になりそうで、その次の年(平成26年)は鹿児島大学の鹿児島県出身者が少ないので、鹿児島出身、県外医大で勉強中の医学生に一人でも多く帰ってもらわないと、更に、減りそうだ。例年なら、5月から始める県外医学生への働きかけを前倒して、先月より始めている。地方の医師不足の悲鳴に近い話を聞いていると、悠長なこと言っておれない。少しでも可能性があれば、会いに行く。一人でも鹿児島の医者を増やさないと、地域が崩壊していく。

この仕事を始めて、4年目になる。なぜ、鹿児島から新人医師が他県に出ていくようになったのか考えさせられる。我々の世代は医大を卒業すると、当然のごとく、鹿児島大学で一人前の医師になる訓練を受けていた。その基本的な流れは平成15年まで続いた。平成16年、新臨床研修制度が始まり、医学生の間に初期研修は市中病院で受けた方が救急患者、一般的な、常識的な疾患を多く診られるとの認識が広がった。鹿児島の場合、大学以外で研修しようとしたとき、彼らの眼には魅力的な研修病院が少なく、自然に県外有名病院に眼が向いていった。大都会の一部の病院は彼らを貴重な労働力とみたので、給与も遙かに高くした。

本県の場合、新人医師が大学病院以外で研修しようとした時、鹿児島の市中病院・臨床研修病院が十分育っていなかったため、県外流出が起こった。鹿児島の400床以上の公立病院は、大学病院と市立病院の2病院のみ、お隣の熊本は5病院もある。その5病院とも多くの研修医を集めている。今後の事を考えると、本県でも初期研修だけではなく、後記研修、キャリアアップための病院が必要である。今、二つしかないが公的拠点的病院を計3~4つにする必要がある。評論のみではなく、具体的に変えないといけない。この仕事は誰がやってくれるのであろうか。

平成24年12月4日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

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指宿 菜の花通信(No.39)「田舎医者の流儀(14)・・・誰がやるの」

日曜日午後、新幹線の中、岡山に向かう車中。夜、医学生4名と会う予定、彼らは鹿児島県出身、その地の医大で勉強中の学生だ。県庁の保健福祉部地域整備課の二人と、本県の初期臨床研修病院の説明をし、懇談する予定。目的は鹿児島に帰って、初期臨床研修を受けるように勧めること。今年の研修医は90名まで回復したが、来年に向けての最終マッチ者数は87名で、来年は80名前後と10名位減りそうな状況にある。新しい臨床研修制度が始まる平成16年以前は100名前後の新人医師が鹿児島に残っていた。それ以後、研修医が減り続け、平成21年には54名と半減してしまった。新人医師の減少の影響を受けて、鹿児島市以外の地方の病院は深刻な医師不足に陥り、地域医療は崩壊の危機にある。

半減していた研修医が今年は90名まで回復し、我々の対策はそれなりに効果を上げているが、来年は80名前後になりそうで、その次の年(平成26年)は鹿児島大学の鹿児島県出身者が少ないので、鹿児島出身、県外医大で勉強中の医学生に一人でも多く帰ってもらわないと、更に、減りそうだ。例年なら、5月から始める県外医学生への働きかけを前倒して、先月より始めている。地方の医師不足の悲鳴に近い話を聞いていると、悠長なこと言っておれない。少しでも可能性があれば、会いに行く。一人でも鹿児島の医者を増やさないと、地域が崩壊していく。

この仕事を始めて、4年目になる。なぜ、鹿児島から新人医師が他県に出ていくようになったのか考えさせられる。我々の世代は医大を卒業すると、当然のごとく、鹿児島大学で一人前の医師になる訓練を受けていた。その基本的な流れは平成15年まで続いた。平成16年、新臨床研修制度が始まり、医学生の間に初期研修は市中病院で受けた方が救急患者、一般的な、常識的な疾患を多く診られるとの認識が広がった。鹿児島の場合、大学以外で研修しようとしたとき、彼らの眼には魅力的な研修病院が少なく、自然に県外有名病院に眼が向いていった。大都会の一部の病院は彼らを貴重な労働力とみたので、給与も遙かに高くした。

本県の場合、新人医師が大学病院以外で研修しようとした時、鹿児島の市中病院・臨床研修病院が十分育っていなかったため、県外流出が起こった。鹿児島の400床以上の公立病院は、大学病院と市立病院の2病院のみ、お隣の熊本は5病院もある。その5病院とも多くの研修医を集めている。今後の事を考えると、本県でも初期研修だけではなく、後記研修、キャリアアップための病院が必要である。今、二つしかないが公的拠点的病院を計3~4つにする必要がある。評論のみではなく、具体的に変えないといけない。この仕事は誰がやってくれるのであろうか。

平成24年12月4日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦