独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 3月 2013

指宿 菜の花通信(No.42)「田舎医者の流儀(17)・・・市場原理」

私の勤務する国立病院機構指宿病院は今年度、かろうじて黒字になりそうだ。病院なのだから、赤字、黒字は関係ないだろうと思われるかもしれない、しかし、そうはいかない。当院は、国立病院時代から赤字であった。平成16年国立病院が独立行政法人国立病院機構に移行し、民間並みの独立採算を求められるようになった。当時の院長さんは赤字だと言って、上部機関に毎月呼び出されて厳しく追及された。赤字だと医療機器の更新など設備投資も一切認められなかった。そんな状況では医師もやる気をなくし、22名いた医師も次々に辞めていき、14名まで減ってしまった。負のスパイラルでますます収支は悪化していった。

そんな収支の悪い病院は潰してしまえばという議論もあった。地元選出の威勢の良い某代議士さんは自分の系列病院に吸収すると演説して歩いた。効率の悪い国立病院より、民間病院の方が地元の医療を守れると説いた。しかし、どういう経過かよく解らないけど、国立のまま存続することになった。指宿地区の医療状況からみると、当院は市民病院的役割を果たしている。この病院をなくすると、地域の医療供給は著しく厳しい状況になる。なんとしても病院を再建していく方向性をとらざるを得ない。

しかし、そんな条件の悪い(?)病院をやってくれる奇特な医師がいるのであろうか。医師は技術屋なので、診療をしっかりやることは当然と思い、そのためならいくらでも努力する。更に、それ以上、経営を良くしろと言われても「はい解りました」と言える医者は少ない。

現在の医療制度のもとでは、地方の小都市で中核的な病院を黒字で運営することは難しい。現実に、多くの自治体病院など公的病院が、何らかの補助金の注入で成り立っている。ある程度の都市、県庁所在地、例えば、鹿児島市は人口60万であり、診療圏が大きいのでそれなりに患者さんも集まる。一定のレベルがあり、他院と差別化された医療を提供出来れば患者さんは来てくれる。難しいと言っても医師の確保もそれなりに可能である。一方、地方の小都市の場合、経営的に厳しくても、そこで必要とされる医療を提供しなければならない。診療圏が小さいと患者さんの数が確保できない、収支のバランスは難しいことになる。

更に困難なのは医師確保である。市場原理に任せて、医師が自由に勤務先を選ぶなら、鹿児島で言うと鹿児島市内をより多く選ぶのは当然のことである。

市場原理に任せて、地方の医療は成り立たつわけがない。そこの医療人が強い使命感で、歯をクイシバッテ、ガンバル事を求める風潮はよくない。医療提供体制に責任を持つのは行政であることを再度確認しなければならない。

平成25年3月12日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

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指宿 菜の花通信(No.42)「田舎医者の流儀(17)・・・市場原理」

私の勤務する国立病院機構指宿病院は今年度、かろうじて黒字になりそうだ。病院なのだから、赤字、黒字は関係ないだろうと思われるかもしれない、しかし、そうはいかない。当院は、国立病院時代から赤字であった。平成16年国立病院が独立行政法人国立病院機構に移行し、民間並みの独立採算を求められるようになった。当時の院長さんは赤字だと言って、上部機関に毎月呼び出されて厳しく追及された。赤字だと医療機器の更新など設備投資も一切認められなかった。そんな状況では医師もやる気をなくし、22名いた医師も次々に辞めていき、14名まで減ってしまった。負のスパイラルでますます収支は悪化していった。

そんな収支の悪い病院は潰してしまえばという議論もあった。地元選出の威勢の良い某代議士さんは自分の系列病院に吸収すると演説して歩いた。効率の悪い国立病院より、民間病院の方が地元の医療を守れると説いた。しかし、どういう経過かよく解らないけど、国立のまま存続することになった。指宿地区の医療状況からみると、当院は市民病院的役割を果たしている。この病院をなくすると、地域の医療供給は著しく厳しい状況になる。なんとしても病院を再建していく方向性をとらざるを得ない。

しかし、そんな条件の悪い(?)病院をやってくれる奇特な医師がいるのであろうか。医師は技術屋なので、診療をしっかりやることは当然と思い、そのためならいくらでも努力する。更に、それ以上、経営を良くしろと言われても「はい解りました」と言える医者は少ない。

現在の医療制度のもとでは、地方の小都市で中核的な病院を黒字で運営することは難しい。現実に、多くの自治体病院など公的病院が、何らかの補助金の注入で成り立っている。ある程度の都市、県庁所在地、例えば、鹿児島市は人口60万であり、診療圏が大きいのでそれなりに患者さんも集まる。一定のレベルがあり、他院と差別化された医療を提供出来れば患者さんは来てくれる。難しいと言っても医師の確保もそれなりに可能である。一方、地方の小都市の場合、経営的に厳しくても、そこで必要とされる医療を提供しなければならない。診療圏が小さいと患者さんの数が確保できない、収支のバランスは難しいことになる。

更に困難なのは医師確保である。市場原理に任せて、医師が自由に勤務先を選ぶなら、鹿児島で言うと鹿児島市内をより多く選ぶのは当然のことである。

市場原理に任せて、地方の医療は成り立たつわけがない。そこの医療人が強い使命感で、歯をクイシバッテ、ガンバル事を求める風潮はよくない。医療提供体制に責任を持つのは行政であることを再度確認しなければならない。

平成25年3月12日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦