独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 6月 2015

平成28年度 医療職(二)等採用候補者名簿登載選考について(終了)

独立行政法人国立病院機構九州グループにて、「平成28年度採用情報(募集要項)」を掲載しています。
「薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師・管理栄養士・児童指導員・保育士・理学療法士・作業療法士」の募集が掲載されています。
詳しくは、独立行政法人国立病院機構九州グループ 採用情報をご覧ください。

指宿メッセージ No.04 地域医療ビジョン

 人口減少、少子高齢化、総医療費の高騰などを踏まえ、日本の医療改革(特に地域医療)が必要である事は、医療人はもちろん、一般の方も知る所である。鹿児島県でも県地域医療構想検討会、保険医療圏地域医療構想懇話会が始まろうとしている。地域医療に携わる関連機関が話し合い、今後の日本の医療の在り方が決まると言っても過言ではない。それほど重要でかつ待ったなしの状態である。また、団塊の世代が75歳を超える2025年問題も良く言われているが、都市部と田舎では状況があまりにも違いすぎる。2025年までに東京23区では医療必要度が12%増加、介護必要度は42%増加。鹿児島市でも10%増加(医療)、32%増加(介護)。一方、指宿市は3%減少(医療)、7%増加(介護)。指宿周辺地域では現在が両者ともピークで8%減少(医療)、3%減少(介護)すると予想されている(表1)

【表1】(高橋 泰らの指標に基づく)

医療圏東京23区鹿児島市指宿市南薩
(南薩摩半島4市)
医療必要度
2025年/‘35
+12.4/+20.7%+10.0/+9.3%-2.7/-10.8%-7.9/-16.3%
介護必要度
2025年/’35
+41.7/+51.3%+31.6/+46.2%+7.3/+10.2%-2.5/-1.7%

 東京ではいかに施設を増やすか。いかに医師などの医療スタッフを揃えるかが喫緊の問題で、地方はどこの施設をどのような形(機能)で残し、人口当たりの医療および介護施設の適正化を図るかが問題となっている。都市部の高齢者を田舎に移住させる提案も出されているが、実際は二の足を踏む人が多いのではないだろうか?生粋の江戸っ子が指宿に行くだろうか。たいていは生まれ育った地元を好むはず。田舎より便が良い都市部のマンションへ移り住む高齢者も多いと聞く。2025年問題に対する医療改革は一筋縄でいかない事は歴然としている。どこに落としどころを持っていくのか。

 高齢化率から言えば、現在指宿は日本の2030年を走っており、周辺地域ではすでに2050年を走っている。現時点で、田舎では2025年問題はとっくに過ぎている。今回の地域医療構想についても都市部の介護問題や医療費高騰がクローズアップされ、初めて本腰を入れた感もあり、遅すぎたぐらいである。今回の地域医療ビジョンは具体的に実行性のあるものでなくてはならない。鹿児島県は人口当たりの病院数、病床数が日本の中でも特に多い地域であるが、一方では急病患者のために入院施設を残さざるを得ない地域の事情もある。病院、病床の厳格な適正化を行い、かついかなる患者さんも切り捨てないという超難問を突き付けられているのだ。医療・介護が追い付かなくなる都市部から地方に移りなさいではなく、自然にこの町に住みたい、移りたいと思わせる魅力ある町づくりができるかが鍵と思っている。今回の地域ビジョンは医療・介護に限ったことではなく、総合的な田舎力を試されている。知恵を出し合い、地域から日本の医療の在り方の提案をしよう。近視眼的な、場当たり的な対処法ではなく、本物の医療・介護システムを!

平成27年6月24日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

指宿 菜の花通信(No.69)「田舎医者の流儀(44)・・・「金」を失う」

今年の鹿児島の梅雨は、例年になく雨が降り続いている。先日、鶴丸城跡のお堀の近くを通ったら、いつもの様に蓮の花が咲いていた。平成19年6月に書いた前任病院時代の「院長便り」に「鶴丸城跡お堀の蓮が今年も6月11日に咲いた。例年、15日以降の開花が多いが、いつもより早かったように思う。よく見ると蕾みは10個近くあり、最初に開花したのは正門橋の左下の所、決まったように繰り返される自然の営みに感嘆させられる」と書いている。

雨が多いと、私の通勤するJR指宿線は運休したり、徐行運転をしたりで予定が立たない。先週は朝の列車が、途中駅の瀬々串や喜入までしか運航されず、そこからは時間の関係もありタクシーを利用せざるを得なかった。バスに乗って行くと、診療開始時間に間にあわない。患者さんを待たせれば、無理して行かなくてもという考えもあるかも知れないが、「古い」人間なので、約束を守らないことには抵抗感が強い。

例年、梅雨時、年に1~2回は、列車が運行せずバスに乗ることがあった。この路線を通勤する限り仕方ない事で、それはそれで受け入れている。今年は回数が多いのとバスは、2倍の時間がかかり、閉口する。列車は運行しても、「特急・観光列車たまて箱」優先で、普通列車は運休になることが多い。この路線には、沿線に高校など学校が多いので、子供達が多く利用する。たまて箱は座席指定で、また途中駅には喜入以外は止まらないので、学生らは利用できない。JR九州のやり方は地域の生活者の利便性よりも、観光客を優先に考えているようだ。

JR九州は株式上場をするようなので、ますます「株主様」の意向が重視されて行くであろう。そうすると儲からない指宿線の存続も難しくなっていくかもしれない。儲からない路線は切り捨てられていく、それが自由主義・市場主義の方向であって、公共性とは相容れない形である。それでは鉄道は、字のごとく金(使命)を失うことにならないか心配である。

医療・福祉の分野にも効率化・市場主義の方向性がますます強まっている。命の分野に「強欲資本主義」の論理を入れていったら、国民は幸せに暮らせるのであろうか。そのうち、コンビニで店員さんが「患者さん」の症状を聞いて、検査やお薬を出す時代が来るかもしれない。簡単な病気はそういう方向でも良いのではという人もいる。そんな議論をする金持ちは医者にかかり、貧乏人はコンビニで済ませなさいと言うことか。人の体は私が45年も医者をやっていても難しいと思っている。社会的弱者はますます生きづらくなっていくのであろうか。

平成27年6月24日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

指宿メッセージ No.03 地域医療の在り方を考える

 地域で「役に立つ病院」を目指し、職員一丸となって頑張っているものの費用対効果の悪い田舎では、経営的には至難の業である。国立時代から独立行政法人へ移行し、完全に各病院が独立採算制になり、自立した経営ができない限り、大きな投資や病院建て替えなど相ならぬという社則が決められた。また成績の悪い所は廃院か吸収合併されることとなった。

 実際に146あった病院が3病院整理されたが、国時代の無駄を削ぎ落とし、必死に病院経営を健全化し、ついに世界でも有数な企業となった。国立病院機構の各施設が危機感を持って改革を行ってきた結果である。

 当院も健全な経営、「地域に役に立つ病院」を目指し築40年の一世代前のハードに新たなソフトを無理やりぶち込み、改革を行ってきた。平成24年にはどうにか単年度黒字を達成したが、今までの累積借金は変わらず、さらに黒字を維持するのに難渋しているのが現状である。黒字を契機に本部からの投資枠が外され、大型医療機器をすべて更新した(もちろん借金)。

 当院のような救急を行っている地域中核病院では、3次救急病院に搬送するかなど瞬時の決定に画像診断は欠かせないものとなっている。あらゆる疾患に対応せざるを得ない救急医療のストレスを少しでも緩和してあげるためには高性能画像診断装置と遠隔画像診断システムは必須である。このような事は、地域住民の命を助けるためには当たり前と思うでしょう。このようなあたりまえの事をやると経営がままならぬ状況が地域医療の問題点でもある。

 費用対効果が悪い地域にどこまで投資しますか、経営的には優良と言えない企業に回収不能の資金を与えますか。その資金源はどこから持ってきますか、などなど。

 一方では毎年上がる日本の総医療費がついに約40兆円、半分は保険料でまかない、半分は税金で補てんしている状況。このままだと国民皆保険制度が崩壊する可能性が高いため医療費削減が叫ばれている。対策の一つが「病院病床機能分化」の名のもとに病院・病床を減らす事である。当然の考えであるが、この大きな波に地域医療で頑張っている病院も飲み込まれそうである。

 それではどうすべきか。従来の医療政策に替わり新しい方策が必要である。地域によっては痛みを伴うかもしれないが、即効性が有り、費用対効果が少しでも良い方策を決めなくてはならない。地域医療を守るため、限りある医療資源を有効に使うため、費用対効果を少しでも良くするため、住民の血税を最大限に有効活用するために、経営母体の違う医療機関が、住民を守るという同じ視点に立ち、腹を割って話し合い、地方医療行政とともに2次医療圏の医療システムの改革、再構築をすべきと思っている。

 一つの医療機関が一人で考える時代は終わり、一つの医療機関が利益を求める時代は終焉に近づいている。公的、私的に限らず、国民の健康保障にかかわる仕事をしている事をもっと自覚すべきであろう。2次医療圏の在り方についての話し合いが始まろうとしているが、戦略的医療行政・戦略的投資をしなくては取り返しのつかない状況になるであろう。しかも10年、20年、30年先も見越した方策は必要で、実のある会議が必要である。

 健康の保障が無ければ、人は集まらず、地域再生、地域創生も「絵に描いた餅」になりかねない。

平成27年6月15日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

臨床研修体験談(林 美幸 先生)

指宿医療センターでの研修を終えて(研修期間 H27.4~H27.5)

九州医療センター 二年次研修医 林 美幸

 平成27年4月から2ヵ月間、指宿医療センターで地域研修をさせて頂きました。九州医療センターの初期研修ローテートでの地域研修期間は1ヵ月間と決められていますが、その中で指宿医療センターのみ2ヵ月設けられていたのが魅力的であったことと、最も“地域医療らしい”研修ができると期待し、選択させて頂きました。指宿医療センターでの研修は、大学病院や地方中核病院とは違った側面で医療を見直すことができた2ヵ月間でした。
 研修前は、地域医療とは限られた資源でprimary careを中心に行っていくというイメージを持っていました。このイメージは根本的に間違ってはいなかったのですが、限られた資源といっても、必要最小限の検査を行う上で特に苦労はしませんでした。また、紙カルテだったのでオーダーシステムや採用薬剤、注射器が現在研修している病院のものとは異なっていたため、当初は戸惑いましたが、オーダーの仕方や薬剤の名前、医療資源の形が慣れているものと異なっていたとしても、いずれ後期研修医として様々な病院に勤める際に、「そのタイプは使ったこと無いから分からない」等という理由は許されないため、どんなものでも対応できるようになるという面で実に良い経験になりました。そして、当直は医師1人が担当するため、専門外であっても診断から初期対応を行わなければなりません。それぞれの専門性を活かしながら全人的医療を行う姿に、大学病院とは違った魅力を感じました。
 研修内容についてですが、循環器内科と消化器内科を研修し、CVカテーテル挿入、胸腔穿刺、Aライン確保、心エコー、腹部エコー、上部内視鏡検査など手技を中心に経験させて頂きました。
 循環器でまず驚いたことは、循環器疾患以外にARDSや脳梗塞、腎盂腎炎やWegener肉芽腫、ATLなどの幅広い分野の入院患者を積極的に受け持っていることでした。初期研修1年目でも循環器を研修しましたが、心エコーは十分に学ぶ機会がなかったため、心エコーで心駆出率(EF)を出せることを目標にし、ほぼ毎日心エコー室へ通いました。最終的には救急外来で心臓の動きや弁膜症の有無、EFを出せるようにはなったと思いますが、やはり基本断面を出せるようになるにはもう少し訓練が必要だと思いました。また、4月は急性心筋梗塞の症例が多く、胸痛の鑑別からそれぞれの初期対応までしっかりと身に着けることができました。
 消化器内科では腹部エコー、上部内視鏡検査と外来をさせて頂きました。腹部エコーは毎日訓練した成果もあり、5月下旬に救急外来で尿管結石の患者がきた際にエコーで腎盂拡張を見つけることができ、自信に繋がりました。上部内視鏡は胃内や十二指腸の観察は数をこなすうちにできるようになりましたが、食道入口部への挿入が最も難しく、成功した時の感動は今でも忘れられません。
 指宿の人々は皆温かく優しい人々ばかりなのに、4月は環境の変化に慣れることができずに不満が多く、勿体ない時間を過ごしました。しかし5月に入り、自分でも驚くほど馴染み始めました。駅前にダンススクールがあるのを発見し、思い切って通い始めたり、病棟の看護師さん達とボーリングしに行ったり、手料理を食べさせてもらったりと、とても充実した日々を過ごせました。また、医局のソファーで他科の先生方とテレビを見ながら昼食を食べる時間が最も楽しみでした。各部門の方々と打ち解け、「林先生~!」と色々な所から気軽に声をかけてくださったのも嬉しく思っていました。研修を終えた今こそ、指宿に来て良かったと心から思い、指宿での日々が恋しいです。後輩には勿論自信を持って指宿をお勧めします。
 広大な土地を有し、高齢化が進む指宿市の医療を一身に担い、周囲の病院と密に連携し高い意識を持ちながら医療を行う指宿医療センターは今後ますます地域医療モデルの最前線として発展していくと思われます。これから新病棟を建設予定とのことなので、完成した暁には観光も兼ねて見に行こうかなと思っています。ありがとうございました。

指宿メッセージ No.02 地域産科医療問題

 先日、2次医療圏(南薩地域、薩摩半島南部)の産科問題の会議があったが、どの地域も深刻で解決策が見いだせないのが現状。当院は2名の産婦人科医が勤務しているが、産婦人科医2名体制が地域では尋常ではない状況にまでなっている。

 「どのようにしたら医師確保が可能か。指宿はなぜ確保できたのか」というのが私に与えられたテーマだ。平成21年院長になってから毎年、毎年、産婦人科医確保には頭を悩まされたが、平成26年度から産婦人科医2名体制を確保できたことは幸運であったとしか言いようがない。どこに差があるかといわれても自分自身もはっきりわからない。ただ言える事は可能性があればすぐに行動に移していたことだ。やってみて結果がダメだったら諦めが付くが、やらずにダメだったら悔やまれてならない。「Bestを尽くした」という自己満足的な慰めで自分自身を納得させるために行動したのかもしれない。

 ある意味、開き直りの行動であったが、結果的にうまく行った。本当に運が良かっただけかもしれない。成功に導いてくれた関係者には感謝している。

 産科医確保には産婦人科だけではなく、麻酔科、小児科がそろわない事には不可能である。この3科がそろって初めて産科医療が可能となるのだ。産婦人科医2名体制を考えると一度に4名の医師確保を行わなくてはならない。この事が、地域の小さな中核病院にとっていかにハードルの高いものか、第一線の地域医療に携わっている者であれば容易に理解いただけると思う。しかも費用対効果は都市部と比べ、かなり悪い。理想と現実のギャップに打ちのめされそうになる。

 今から少子高齢化社会に突き進んでいく日本、その中ですでに先行している地域(指宿で高齢化率32%、日本の2030年と同じ状況)もある。高齢化社会をターゲットとした医療や介護を優先すべきで、しかもそこには大きな需要が見込まれるとの意見も当然と思われるが、成育医療(産科・小児科)は町の根幹にかかわる事で、医療だけでなく、町全体で考える一大事だ。そう、「町おこし」の一環である。産業を生み出し、若い人が集まり、安心してお産や子育てができる町にしなければ、町全体がしぼみ、いかにもがいてもアリ地獄状態に陥ってしまうだろう。

 我々は「産声のない町にしたくない」というスローガンを掲げ、行政や住民と一緒になってこの問題に立ち向かう覚悟を決め行動してきた。残念ながら、すでに地域社会の生き残り競争がはじまっているが、すでに生き残れない、生活の根幹が壊れてしまっている地域も出てきている。我々はその現実を十分認識して町おこしをしなくてはならない。

 地域創生という言葉がもてはやされているが、最近までは地域再生という言葉もあった。どう違うのだろう。単なる言葉遊びで無く、真剣に病んでいる地域を治す事を考えるべきである。治るためには栄養補給やカンフル剤や、時には外科的治療も使わざるを得ない事も有る。覚悟を決めて向かうしかない、仲間と一緒に。

平成27年6月1日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

当院について 院長あいさつ ロゴマークについて 新病棟のご紹介 病院の理念 病院概要 地域医療支援病院 鹿児島県がん診療指定病院 開放型病院 指宿医療センターヘリポート 臨床研修 地域医療研修センター 情報公開 個人情報ファイル管理簿 文書ファイル管理簿 「情報公開・個人情報保護総合案内所」に関する広報 法令違反に関する外部からの通報手続きについて 節電行動計画 バリアフリー情報 出前講座 絵画展示のご案内 イベントカレンダー DPCデータによる当院の病院指標 平成27年度 病院指標 平成28年度 病院指標 ボランティア募集 新病棟建設工事の進捗状況 医師募集
診療科紹介 消化器科 循環器科 総合診療内科 小児科 外科 泌尿器科 産婦人科 麻酔科 眼科
部門紹介 看護部 看護部の概要 教育体制 看護単位(病棟)の紹介 薬剤科 治験管理室 診療放射線科 研究検査科 栄養管理室 リハビリテーション科 医療安全管理室 地域医療連携室 ひなぎく病児保育室
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入院のご案内 初めて入院される方へ 病棟案内図
コラム 目の前で人が倒れたら? 子どもの病気について 月経困難症について 女性ホルモンと骨粗しょう症について これからママになるみなさんへ たばこの害について
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891-0498 鹿児島県指宿市十二町4145
【電話】
0993-22-2231 【FAX】0993-22-3149(ファックス) 【地域医療連携室FAX】0993-22-2772

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平成28年度 医療職(二)等採用候補者名簿登載選考について(終了)

独立行政法人国立病院機構九州グループにて、「平成28年度採用情報(募集要項)」を掲載しています。
「薬剤師・診療放射線技師・臨床検査技師・管理栄養士・児童指導員・保育士・理学療法士・作業療法士」の募集が掲載されています。
詳しくは、独立行政法人国立病院機構九州グループ 採用情報をご覧ください。

指宿メッセージ No.04 地域医療ビジョン

 人口減少、少子高齢化、総医療費の高騰などを踏まえ、日本の医療改革(特に地域医療)が必要である事は、医療人はもちろん、一般の方も知る所である。鹿児島県でも県地域医療構想検討会、保険医療圏地域医療構想懇話会が始まろうとしている。地域医療に携わる関連機関が話し合い、今後の日本の医療の在り方が決まると言っても過言ではない。それほど重要でかつ待ったなしの状態である。また、団塊の世代が75歳を超える2025年問題も良く言われているが、都市部と田舎では状況があまりにも違いすぎる。2025年までに東京23区では医療必要度が12%増加、介護必要度は42%増加。鹿児島市でも10%増加(医療)、32%増加(介護)。一方、指宿市は3%減少(医療)、7%増加(介護)。指宿周辺地域では現在が両者ともピークで8%減少(医療)、3%減少(介護)すると予想されている(表1)

【表1】(高橋 泰らの指標に基づく)

医療圏東京23区鹿児島市指宿市南薩
(南薩摩半島4市)
医療必要度
2025年/‘35
+12.4/+20.7%+10.0/+9.3%-2.7/-10.8%-7.9/-16.3%
介護必要度
2025年/’35
+41.7/+51.3%+31.6/+46.2%+7.3/+10.2%-2.5/-1.7%

 東京ではいかに施設を増やすか。いかに医師などの医療スタッフを揃えるかが喫緊の問題で、地方はどこの施設をどのような形(機能)で残し、人口当たりの医療および介護施設の適正化を図るかが問題となっている。都市部の高齢者を田舎に移住させる提案も出されているが、実際は二の足を踏む人が多いのではないだろうか?生粋の江戸っ子が指宿に行くだろうか。たいていは生まれ育った地元を好むはず。田舎より便が良い都市部のマンションへ移り住む高齢者も多いと聞く。2025年問題に対する医療改革は一筋縄でいかない事は歴然としている。どこに落としどころを持っていくのか。

 高齢化率から言えば、現在指宿は日本の2030年を走っており、周辺地域ではすでに2050年を走っている。現時点で、田舎では2025年問題はとっくに過ぎている。今回の地域医療構想についても都市部の介護問題や医療費高騰がクローズアップされ、初めて本腰を入れた感もあり、遅すぎたぐらいである。今回の地域医療ビジョンは具体的に実行性のあるものでなくてはならない。鹿児島県は人口当たりの病院数、病床数が日本の中でも特に多い地域であるが、一方では急病患者のために入院施設を残さざるを得ない地域の事情もある。病院、病床の厳格な適正化を行い、かついかなる患者さんも切り捨てないという超難問を突き付けられているのだ。医療・介護が追い付かなくなる都市部から地方に移りなさいではなく、自然にこの町に住みたい、移りたいと思わせる魅力ある町づくりができるかが鍵と思っている。今回の地域ビジョンは医療・介護に限ったことではなく、総合的な田舎力を試されている。知恵を出し合い、地域から日本の医療の在り方の提案をしよう。近視眼的な、場当たり的な対処法ではなく、本物の医療・介護システムを!

平成27年6月24日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

指宿 菜の花通信(No.69)「田舎医者の流儀(44)・・・「金」を失う」

今年の鹿児島の梅雨は、例年になく雨が降り続いている。先日、鶴丸城跡のお堀の近くを通ったら、いつもの様に蓮の花が咲いていた。平成19年6月に書いた前任病院時代の「院長便り」に「鶴丸城跡お堀の蓮が今年も6月11日に咲いた。例年、15日以降の開花が多いが、いつもより早かったように思う。よく見ると蕾みは10個近くあり、最初に開花したのは正門橋の左下の所、決まったように繰り返される自然の営みに感嘆させられる」と書いている。

雨が多いと、私の通勤するJR指宿線は運休したり、徐行運転をしたりで予定が立たない。先週は朝の列車が、途中駅の瀬々串や喜入までしか運航されず、そこからは時間の関係もありタクシーを利用せざるを得なかった。バスに乗って行くと、診療開始時間に間にあわない。患者さんを待たせれば、無理して行かなくてもという考えもあるかも知れないが、「古い」人間なので、約束を守らないことには抵抗感が強い。

例年、梅雨時、年に1~2回は、列車が運行せずバスに乗ることがあった。この路線を通勤する限り仕方ない事で、それはそれで受け入れている。今年は回数が多いのとバスは、2倍の時間がかかり、閉口する。列車は運行しても、「特急・観光列車たまて箱」優先で、普通列車は運休になることが多い。この路線には、沿線に高校など学校が多いので、子供達が多く利用する。たまて箱は座席指定で、また途中駅には喜入以外は止まらないので、学生らは利用できない。JR九州のやり方は地域の生活者の利便性よりも、観光客を優先に考えているようだ。

JR九州は株式上場をするようなので、ますます「株主様」の意向が重視されて行くであろう。そうすると儲からない指宿線の存続も難しくなっていくかもしれない。儲からない路線は切り捨てられていく、それが自由主義・市場主義の方向であって、公共性とは相容れない形である。それでは鉄道は、字のごとく金(使命)を失うことにならないか心配である。

医療・福祉の分野にも効率化・市場主義の方向性がますます強まっている。命の分野に「強欲資本主義」の論理を入れていったら、国民は幸せに暮らせるのであろうか。そのうち、コンビニで店員さんが「患者さん」の症状を聞いて、検査やお薬を出す時代が来るかもしれない。簡単な病気はそういう方向でも良いのではという人もいる。そんな議論をする金持ちは医者にかかり、貧乏人はコンビニで済ませなさいと言うことか。人の体は私が45年も医者をやっていても難しいと思っている。社会的弱者はますます生きづらくなっていくのであろうか。

平成27年6月24日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

医療安全研修 「医療事故について考える」

ひよこ通信6.22

指宿メッセージ No.03 地域医療の在り方を考える

 地域で「役に立つ病院」を目指し、職員一丸となって頑張っているものの費用対効果の悪い田舎では、経営的には至難の業である。国立時代から独立行政法人へ移行し、完全に各病院が独立採算制になり、自立した経営ができない限り、大きな投資や病院建て替えなど相ならぬという社則が決められた。また成績の悪い所は廃院か吸収合併されることとなった。

 実際に146あった病院が3病院整理されたが、国時代の無駄を削ぎ落とし、必死に病院経営を健全化し、ついに世界でも有数な企業となった。国立病院機構の各施設が危機感を持って改革を行ってきた結果である。

 当院も健全な経営、「地域に役に立つ病院」を目指し築40年の一世代前のハードに新たなソフトを無理やりぶち込み、改革を行ってきた。平成24年にはどうにか単年度黒字を達成したが、今までの累積借金は変わらず、さらに黒字を維持するのに難渋しているのが現状である。黒字を契機に本部からの投資枠が外され、大型医療機器をすべて更新した(もちろん借金)。

 当院のような救急を行っている地域中核病院では、3次救急病院に搬送するかなど瞬時の決定に画像診断は欠かせないものとなっている。あらゆる疾患に対応せざるを得ない救急医療のストレスを少しでも緩和してあげるためには高性能画像診断装置と遠隔画像診断システムは必須である。このような事は、地域住民の命を助けるためには当たり前と思うでしょう。このようなあたりまえの事をやると経営がままならぬ状況が地域医療の問題点でもある。

 費用対効果が悪い地域にどこまで投資しますか、経営的には優良と言えない企業に回収不能の資金を与えますか。その資金源はどこから持ってきますか、などなど。

 一方では毎年上がる日本の総医療費がついに約40兆円、半分は保険料でまかない、半分は税金で補てんしている状況。このままだと国民皆保険制度が崩壊する可能性が高いため医療費削減が叫ばれている。対策の一つが「病院病床機能分化」の名のもとに病院・病床を減らす事である。当然の考えであるが、この大きな波に地域医療で頑張っている病院も飲み込まれそうである。

 それではどうすべきか。従来の医療政策に替わり新しい方策が必要である。地域によっては痛みを伴うかもしれないが、即効性が有り、費用対効果が少しでも良い方策を決めなくてはならない。地域医療を守るため、限りある医療資源を有効に使うため、費用対効果を少しでも良くするため、住民の血税を最大限に有効活用するために、経営母体の違う医療機関が、住民を守るという同じ視点に立ち、腹を割って話し合い、地方医療行政とともに2次医療圏の医療システムの改革、再構築をすべきと思っている。

 一つの医療機関が一人で考える時代は終わり、一つの医療機関が利益を求める時代は終焉に近づいている。公的、私的に限らず、国民の健康保障にかかわる仕事をしている事をもっと自覚すべきであろう。2次医療圏の在り方についての話し合いが始まろうとしているが、戦略的医療行政・戦略的投資をしなくては取り返しのつかない状況になるであろう。しかも10年、20年、30年先も見越した方策は必要で、実のある会議が必要である。

 健康の保障が無ければ、人は集まらず、地域再生、地域創生も「絵に描いた餅」になりかねない。

平成27年6月15日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

脳血管内科・神経内科 外来診療再開について

6月23日より、脳血管内科・神経内科の外来診療を再開致します。

曜日・時間帯は外来診療担当一覧をご参照ください。

神経内科外来診療再開のお知らせ
○外来診療担当一覧(H27.6.22~)

臨床研修体験談(林 美幸 先生)

指宿医療センターでの研修を終えて(研修期間 H27.4~H27.5)

九州医療センター 二年次研修医 林 美幸

 平成27年4月から2ヵ月間、指宿医療センターで地域研修をさせて頂きました。九州医療センターの初期研修ローテートでの地域研修期間は1ヵ月間と決められていますが、その中で指宿医療センターのみ2ヵ月設けられていたのが魅力的であったことと、最も“地域医療らしい”研修ができると期待し、選択させて頂きました。指宿医療センターでの研修は、大学病院や地方中核病院とは違った側面で医療を見直すことができた2ヵ月間でした。
 研修前は、地域医療とは限られた資源でprimary careを中心に行っていくというイメージを持っていました。このイメージは根本的に間違ってはいなかったのですが、限られた資源といっても、必要最小限の検査を行う上で特に苦労はしませんでした。また、紙カルテだったのでオーダーシステムや採用薬剤、注射器が現在研修している病院のものとは異なっていたため、当初は戸惑いましたが、オーダーの仕方や薬剤の名前、医療資源の形が慣れているものと異なっていたとしても、いずれ後期研修医として様々な病院に勤める際に、「そのタイプは使ったこと無いから分からない」等という理由は許されないため、どんなものでも対応できるようになるという面で実に良い経験になりました。そして、当直は医師1人が担当するため、専門外であっても診断から初期対応を行わなければなりません。それぞれの専門性を活かしながら全人的医療を行う姿に、大学病院とは違った魅力を感じました。
 研修内容についてですが、循環器内科と消化器内科を研修し、CVカテーテル挿入、胸腔穿刺、Aライン確保、心エコー、腹部エコー、上部内視鏡検査など手技を中心に経験させて頂きました。
 循環器でまず驚いたことは、循環器疾患以外にARDSや脳梗塞、腎盂腎炎やWegener肉芽腫、ATLなどの幅広い分野の入院患者を積極的に受け持っていることでした。初期研修1年目でも循環器を研修しましたが、心エコーは十分に学ぶ機会がなかったため、心エコーで心駆出率(EF)を出せることを目標にし、ほぼ毎日心エコー室へ通いました。最終的には救急外来で心臓の動きや弁膜症の有無、EFを出せるようにはなったと思いますが、やはり基本断面を出せるようになるにはもう少し訓練が必要だと思いました。また、4月は急性心筋梗塞の症例が多く、胸痛の鑑別からそれぞれの初期対応までしっかりと身に着けることができました。
 消化器内科では腹部エコー、上部内視鏡検査と外来をさせて頂きました。腹部エコーは毎日訓練した成果もあり、5月下旬に救急外来で尿管結石の患者がきた際にエコーで腎盂拡張を見つけることができ、自信に繋がりました。上部内視鏡は胃内や十二指腸の観察は数をこなすうちにできるようになりましたが、食道入口部への挿入が最も難しく、成功した時の感動は今でも忘れられません。
 指宿の人々は皆温かく優しい人々ばかりなのに、4月は環境の変化に慣れることができずに不満が多く、勿体ない時間を過ごしました。しかし5月に入り、自分でも驚くほど馴染み始めました。駅前にダンススクールがあるのを発見し、思い切って通い始めたり、病棟の看護師さん達とボーリングしに行ったり、手料理を食べさせてもらったりと、とても充実した日々を過ごせました。また、医局のソファーで他科の先生方とテレビを見ながら昼食を食べる時間が最も楽しみでした。各部門の方々と打ち解け、「林先生~!」と色々な所から気軽に声をかけてくださったのも嬉しく思っていました。研修を終えた今こそ、指宿に来て良かったと心から思い、指宿での日々が恋しいです。後輩には勿論自信を持って指宿をお勧めします。
 広大な土地を有し、高齢化が進む指宿市の医療を一身に担い、周囲の病院と密に連携し高い意識を持ちながら医療を行う指宿医療センターは今後ますます地域医療モデルの最前線として発展していくと思われます。これから新病棟を建設予定とのことなので、完成した暁には観光も兼ねて見に行こうかなと思っています。ありがとうございました。

平成28年度 事務職員 募集要項について(終了)

独立行政法人国立病院機構九州グループにて、「平成28年度 事務職員 採用情報」を掲載しています。
詳しくは、独立行政法人国立病院機構九州グループ 採用情報をご覧ください。

新人看護師研修 「フィジカルアセスメント」

ひよこ通信5.29

指宿メッセージ No.02 地域産科医療問題

 先日、2次医療圏(南薩地域、薩摩半島南部)の産科問題の会議があったが、どの地域も深刻で解決策が見いだせないのが現状。当院は2名の産婦人科医が勤務しているが、産婦人科医2名体制が地域では尋常ではない状況にまでなっている。

 「どのようにしたら医師確保が可能か。指宿はなぜ確保できたのか」というのが私に与えられたテーマだ。平成21年院長になってから毎年、毎年、産婦人科医確保には頭を悩まされたが、平成26年度から産婦人科医2名体制を確保できたことは幸運であったとしか言いようがない。どこに差があるかといわれても自分自身もはっきりわからない。ただ言える事は可能性があればすぐに行動に移していたことだ。やってみて結果がダメだったら諦めが付くが、やらずにダメだったら悔やまれてならない。「Bestを尽くした」という自己満足的な慰めで自分自身を納得させるために行動したのかもしれない。

 ある意味、開き直りの行動であったが、結果的にうまく行った。本当に運が良かっただけかもしれない。成功に導いてくれた関係者には感謝している。

 産科医確保には産婦人科だけではなく、麻酔科、小児科がそろわない事には不可能である。この3科がそろって初めて産科医療が可能となるのだ。産婦人科医2名体制を考えると一度に4名の医師確保を行わなくてはならない。この事が、地域の小さな中核病院にとっていかにハードルの高いものか、第一線の地域医療に携わっている者であれば容易に理解いただけると思う。しかも費用対効果は都市部と比べ、かなり悪い。理想と現実のギャップに打ちのめされそうになる。

 今から少子高齢化社会に突き進んでいく日本、その中ですでに先行している地域(指宿で高齢化率32%、日本の2030年と同じ状況)もある。高齢化社会をターゲットとした医療や介護を優先すべきで、しかもそこには大きな需要が見込まれるとの意見も当然と思われるが、成育医療(産科・小児科)は町の根幹にかかわる事で、医療だけでなく、町全体で考える一大事だ。そう、「町おこし」の一環である。産業を生み出し、若い人が集まり、安心してお産や子育てができる町にしなければ、町全体がしぼみ、いかにもがいてもアリ地獄状態に陥ってしまうだろう。

 我々は「産声のない町にしたくない」というスローガンを掲げ、行政や住民と一緒になってこの問題に立ち向かう覚悟を決め行動してきた。残念ながら、すでに地域社会の生き残り競争がはじまっているが、すでに生き残れない、生活の根幹が壊れてしまっている地域も出てきている。我々はその現実を十分認識して町おこしをしなくてはならない。

 地域創生という言葉がもてはやされているが、最近までは地域再生という言葉もあった。どう違うのだろう。単なる言葉遊びで無く、真剣に病んでいる地域を治す事を考えるべきである。治るためには栄養補給やカンフル剤や、時には外科的治療も使わざるを得ない事も有る。覚悟を決めて向かうしかない、仲間と一緒に。

平成27年6月1日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博