独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 11月 2015

指宿メッセージ No.08 ロマンティスト

 「地域中核病院の院長は馬鹿か、ロマンティストか」

 何時のころか忘れたが、自分で良く口にしている言葉。自虐的と言われるかもしれないが、自分では結構気に入っている。地域の公的病院院長の中には「確かに」と思われている方もいるに違いない。
Dr. コトーのモデル、下甑島の下甑村手打診療所所長の瀬戸上健二郎先生(74歳)が今年度で退任されるとの報道があった。後を継ぐ医師はいないとの事。先生は37年間頑張って診療をされたそうで「長い間本当にお疲れ様でした」。
ただ、この事は単なる個人の美談にすべきではない。地域医療がSuperman的個人に依存している現状が問題で、おそらくどの地域でも程度の差こそあれ似たような状況。下甑村にある3診療所を集約するとの方針だが、現実的解決策のひとつと思われる。
今から過疎が進んで行くと同じような事態が各地で出てくる。第2、第3の手打診療所に対する手立てを講じなくてはならない。

 問題点は、人口減少・過疎はもちろん、医師の偏在、都市部への人口集中、超高齢化社会、財政、財源不足、派遣医師の供給源である大学の医局員減少など・・・。どれも簡単な解決策はない。しかしながら各地のX dayのカウントダウンは始まっている。
地域医療を維持するためにはある程度の補助は必要になると思うが、費用対効果も考慮しながらどこまで税金を投入すべきかまで真剣に考えなくてはならない。経営母体が異なる医療機関も、各地域の医学部も、個の都合ではなく大局に立った対応が重要である。
今、医療界が大きく変われるかが問われているし、我々にとって将来の医療を占う大きな試練が与えられ、かつ試されているのかもしれない。先送りは絶対に許されない。どこに住んでも安心して生活できるように医療・行政・大学が一致団結して解決策を模索すべきである。

平成27年11月20日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

第9回健康フェスタ開催のお知らせ

指宿医療センターでは、市民の皆様の健康に対する意識を高め、当院へのご理解を深めていただくため、「健康フェスタ」を開催いたします。多くの市民の皆様のご来場を心よりお待ちしております。

日 時  平成27年11月23日(祝日・月) 9時30分~13時00分

会 場  指宿医療センター内

内 容  測定コーナー   骨密度測定、血圧、心房細動検査、BMI値

     相談コーナー   医師、薬剤師、ソーシャルワーカー、栄養士

     体験コーナー   救急蘇生(AED)、感染予防手洗い

     キッズコーナー  はしご消防車・救急車展示、こども白衣撮影

     体操コーナー   ロコモ体操

     その他    介護実演、介護用品展示会

27健康フェスタ              

指宿 菜の花通信(No.74)「田舎医者の流儀(49)・・・失われゆく」

 1992年、「学会がアメリカでのペニシリン使用50周年を記念してイェール大学で開かれた。司会者は、1942年に流産を起こした33歳の看護師、アン・ミラーの症例を取り上げた。彼女は1ヵ月間激しい病気に苦しんだ。体温は41.6℃を超え、幻覚が現れた。連鎖球菌感染症の兆候が全身に現れていた。産褥熱だった。出産や流産のときに若い女性の生命を奪う名高い感染症だ。ミラーは死の淵を彷徨っていた。」(注:この時代、この病は殆ど助からなかった)

 「大変な幸運によって、彼女の主治医は少量のペニシリンを入手することができ、ベッドに横たわるミラーに投与された(注:この時代、商業的に流通していなかった)。数時間の後に彼女は回復傾向を示した。熱は下がり、幻覚は治まった。やがて食欲が回復し、1ヵ月後には完全に回復した。奇跡的だった。それを起こしたのは、スプーン一杯、5.0グラムのペニシリンであった。」

 「司会者は短い沈黙の後に言った。そのときの患者です。ご起立いただけますか。三列目に、短い白髪の華奢でエレガントな老婦人が立っていた。ペニシリンによって贈られた50年超の歳月を生きた80代のアン・ミラーだった。彼女は90歳で亡くなった。7年後のことだった。」(失われてゆく、我々の内なる細菌 マーチン・J・ブレイザー 山本太郎訳 みすず書房)

 その後、ストレプトマイシンなどが発見され、感染症治療における抗生剤の輝かしい歴史が始まった。一方で、抗生剤アレルギーによる死亡、薬剤耐性を持つ細菌の出現など、この薬の持つ負の側面も明らかになった。それでも、現代医療においては、抗生剤治療は有力な治療手段である。一方で、風邪などへの安易な抗生剤の使用、全体として過剰な使用が問題視されている。

 更に、人への抗生剤の使用のみでなく、牛、豚、魚などの養殖にも抗生剤が使われている。少量の抗生物質が養殖(体重増)に有利に働く様だ。我々は治療で使われる抗生剤以外に、食品からも日常的に知らず知らずの内に抗生物質を摂取していることになる。

 抗生剤は病気の原因となっている細菌を殺すのみでなく、病原でない体内の細菌も殺す。それがどういう意味を持つのか、今まで十分に検討されてこなかった。マーチン・J・ブレイザーは人が抗生剤に晒される機会が増える中で、人に必要な腸内細菌叢など内なる細菌が失われていると言う。その事が現代病の肥満、アレルギー性疾患、炎症性腸疾患などを増加させた要因なのではないかと考え、それを裏付ける研究データを発表している。重大な問題提起であると思う。

平成27年11月03日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

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診療科紹介 消化器科 循環器科 総合診療内科 小児科 外科 泌尿器科 産婦人科 麻酔科 眼科
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891-0498 鹿児島県指宿市十二町4145
【電話】
0993-22-2231 【FAX】0993-22-3149(ファックス) 【地域医療連携室FAX】0993-22-2772

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指宿メッセージ No.08 ロマンティスト

 「地域中核病院の院長は馬鹿か、ロマンティストか」

 何時のころか忘れたが、自分で良く口にしている言葉。自虐的と言われるかもしれないが、自分では結構気に入っている。地域の公的病院院長の中には「確かに」と思われている方もいるに違いない。
Dr. コトーのモデル、下甑島の下甑村手打診療所所長の瀬戸上健二郎先生(74歳)が今年度で退任されるとの報道があった。後を継ぐ医師はいないとの事。先生は37年間頑張って診療をされたそうで「長い間本当にお疲れ様でした」。
ただ、この事は単なる個人の美談にすべきではない。地域医療がSuperman的個人に依存している現状が問題で、おそらくどの地域でも程度の差こそあれ似たような状況。下甑村にある3診療所を集約するとの方針だが、現実的解決策のひとつと思われる。
今から過疎が進んで行くと同じような事態が各地で出てくる。第2、第3の手打診療所に対する手立てを講じなくてはならない。

 問題点は、人口減少・過疎はもちろん、医師の偏在、都市部への人口集中、超高齢化社会、財政、財源不足、派遣医師の供給源である大学の医局員減少など・・・。どれも簡単な解決策はない。しかしながら各地のX dayのカウントダウンは始まっている。
地域医療を維持するためにはある程度の補助は必要になると思うが、費用対効果も考慮しながらどこまで税金を投入すべきかまで真剣に考えなくてはならない。経営母体が異なる医療機関も、各地域の医学部も、個の都合ではなく大局に立った対応が重要である。
今、医療界が大きく変われるかが問われているし、我々にとって将来の医療を占う大きな試練が与えられ、かつ試されているのかもしれない。先送りは絶対に許されない。どこに住んでも安心して生活できるように医療・行政・大学が一致団結して解決策を模索すべきである。

平成27年11月20日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

第9回健康フェスタ開催のお知らせ

指宿医療センターでは、市民の皆様の健康に対する意識を高め、当院へのご理解を深めていただくため、「健康フェスタ」を開催いたします。多くの市民の皆様のご来場を心よりお待ちしております。

日 時  平成27年11月23日(祝日・月) 9時30分~13時00分

会 場  指宿医療センター内

内 容  測定コーナー   骨密度測定、血圧、心房細動検査、BMI値

     相談コーナー   医師、薬剤師、ソーシャルワーカー、栄養士

     体験コーナー   救急蘇生(AED)、感染予防手洗い

     キッズコーナー  はしご消防車・救急車展示、こども白衣撮影

     体操コーナー   ロコモ体操

     その他    介護実演、介護用品展示会

27健康フェスタ              

指宿 菜の花通信(No.74)「田舎医者の流儀(49)・・・失われゆく」

 1992年、「学会がアメリカでのペニシリン使用50周年を記念してイェール大学で開かれた。司会者は、1942年に流産を起こした33歳の看護師、アン・ミラーの症例を取り上げた。彼女は1ヵ月間激しい病気に苦しんだ。体温は41.6℃を超え、幻覚が現れた。連鎖球菌感染症の兆候が全身に現れていた。産褥熱だった。出産や流産のときに若い女性の生命を奪う名高い感染症だ。ミラーは死の淵を彷徨っていた。」(注:この時代、この病は殆ど助からなかった)

 「大変な幸運によって、彼女の主治医は少量のペニシリンを入手することができ、ベッドに横たわるミラーに投与された(注:この時代、商業的に流通していなかった)。数時間の後に彼女は回復傾向を示した。熱は下がり、幻覚は治まった。やがて食欲が回復し、1ヵ月後には完全に回復した。奇跡的だった。それを起こしたのは、スプーン一杯、5.0グラムのペニシリンであった。」

 「司会者は短い沈黙の後に言った。そのときの患者です。ご起立いただけますか。三列目に、短い白髪の華奢でエレガントな老婦人が立っていた。ペニシリンによって贈られた50年超の歳月を生きた80代のアン・ミラーだった。彼女は90歳で亡くなった。7年後のことだった。」(失われてゆく、我々の内なる細菌 マーチン・J・ブレイザー 山本太郎訳 みすず書房)

 その後、ストレプトマイシンなどが発見され、感染症治療における抗生剤の輝かしい歴史が始まった。一方で、抗生剤アレルギーによる死亡、薬剤耐性を持つ細菌の出現など、この薬の持つ負の側面も明らかになった。それでも、現代医療においては、抗生剤治療は有力な治療手段である。一方で、風邪などへの安易な抗生剤の使用、全体として過剰な使用が問題視されている。

 更に、人への抗生剤の使用のみでなく、牛、豚、魚などの養殖にも抗生剤が使われている。少量の抗生物質が養殖(体重増)に有利に働く様だ。我々は治療で使われる抗生剤以外に、食品からも日常的に知らず知らずの内に抗生物質を摂取していることになる。

 抗生剤は病気の原因となっている細菌を殺すのみでなく、病原でない体内の細菌も殺す。それがどういう意味を持つのか、今まで十分に検討されてこなかった。マーチン・J・ブレイザーは人が抗生剤に晒される機会が増える中で、人に必要な腸内細菌叢など内なる細菌が失われていると言う。その事が現代病の肥満、アレルギー性疾患、炎症性腸疾患などを増加させた要因なのではないかと考え、それを裏付ける研究データを発表している。重大な問題提起であると思う。

平成27年11月03日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦