独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 5月 2016

指宿 菜の花通信(No.82)「田舎医者の流儀(57)・・・メラレウカ」

 火、水曜日は指宿での仕事なので、会合等なければ火曜日、指宿に泊まることにしている。宿泊は指宿いわさきホテルになることが多い。この時期、このホテルのアプローチ部の庭に、上に「綿」が乗ったような木がある。タクシーの運転手さんがオーストラリア原産のメラレウカという木だと教えてくれた。このホテルを運営する会社がオーストラリアでも同様の事業をやっているので、そんな関係でこの木がここにあるのかと推察した。

 私にとっては、初めて見る花だ。オーストラリア原産の木がこの地で育ち、可憐かつ独特な花を咲かしている。花言葉は「力強い味方」なのだそうだ。オーストラリア産であるので、乾燥と高温に適応する形でこのような花が出来たのかなと想像した。

 我々は、いろんな環境に適応するように動物や植物が進化したように考えがちであるが『ダーウィンは生物の進化に「目的」はなく、それは偶然の「結果」にすぎないと言う。現在では、その突然変異が遺伝子のミスコピーによって起こる事が判っている。突然変異を起こして親と違う形質を持った子は、当然ながら生き残りにくい。しかし中には、たまたまその形質が環境に合っていたために、生き残って子孫を残す個体もいる。それを何世代も重ねていくと、やがて祖先とは(サルとヒトぐらい)違う形質になる。従って、生物がまるで自ら目的や方向性を持って進化してきたように見えるのは、結果論にすぎない』(辺境生物はすごい:長沼毅 幻冬舎新書)という事らしい。

 東京の首長さんが相も変わらずのレベルの低い「お金」の問題で批判を受けている。公用車での別荘通い、家族旅行の費用を政治資金につけ回しをする等恥ずかしいかぎりだ。この手の問題は長年、繰り返されている。政治家になる人はそんな事を起こす「遺伝子」でも持っているのかと疑いたくなる。先日来日した、世界一貧乏な大統領といわれたウルグアイ元大統領ムヒカは「リーダーは平均的国民の生活感覚を失ってはならない」という。彼は農場に住み、そのように実践している。「慳貪」を嫌う、恥とする生き方は日本人の原点のように思うが、そんな政治家がこの国の主流になれない現状は何とも寂しいものだ。

平成28年5月25日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

指宿メッセージ No.11 都市型災害と田舎の役割

 平成28年4月14日、16日、熊本で震度7の今まで経験したことの無い地震に見舞わられた。東日本大震災の教訓からかDMATなどの運用はスムーズに行った印象が有るが、慢性疾患を有する患者、成育医療と子育て世代のケアの対応は後手に廻った感がある。

 日本は世界有数の災害大国で常に自然の驚異に脅かされてきた一方、自然の恩恵も受けながら先祖代々生活をしてきた。自然災害の脅威は決して人の手で防げるものではないが、少しでも知恵を絞って対処することは可能である。熊本でも災害医療の中軸となった救急病院や医療行政機関が機能していたことは幸いであった。

 行政、経済、安全(医療)が災害で一変に機能不全に陥ったら最悪である。小説「首都崩壊(高嶋哲夫著)」ではないが、すべての中心が一極に集中していること自体が最大のリスクになっているのかもしれない。

 繰り返される災害に対し、全国はもとより、地域でも政治・経済・医療の機能を分散しておくのはどうだろう。例えば機能マヒに陥った都会の医療を助けるために田舎の病院が一時的に拠点になるような仕組みである。

 当院の敷地は広く、ヘリポートを有し、陸・海・空ルートからの搬送が可能で、桜島、川内原発から50km強離れている。来年春の新病棟移転後の旧病棟(耐震補強済み)を非常時医療施設や避難施設に使用できないだろうか。登録しているスタッフに集まってもらい、ボランティアの支援を頂ければ、一度に多くの患者さんを収容(100-200人)可能で、災害に立ち向かう強い災害復興システムが創れると思っている。但し、このシステムでは日頃からある程度機能を維持しておかなくてはならない。

 地域再生を地域の中だけで考えると人口減少が止まらない状況では尻すぼみになってしまう。何らかの付加価値をつけ、常日頃より田舎も活躍できる場を提供することが肝要である。都市の一大事に田舎が守るような形も地域創生の一つの形。期待に応えたいと思っている元気な地域は多いのではないだろうか。

平成28年5月18日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

平成28年5月10日(火)開催 指宿症例検討会レポート

 平成28年5月10日(火)、当院地域医療研修センターにて、指宿症例検討会を開催しました。

 『当院小児科にご紹介いただいた入院症例のまとめ』と題し、小児科部長相星医師により、講演致しました。地域の先生方、および当院職員の計84名が参加しました。

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 開会に先駆けて、田中院長より「このところ、小児科の新入院患者数は順調に増加し、地域の小児医療への貢献という役割を果たすことができていると考えています。今回の検討会が、更なる学習の場、小児医療の地域連携を深める場となれば幸いです」と挨拶がありました。併せて、病棟新築に向けた意気込みについての話もありました。

 講演では、紹介入院症例につき説明を行い、最後に、南薩地区唯一の小児科二次医療機関としての抱負を述べ、結びと致しました。

講演資料はこちら

当院小児科に御紹介いただいた入院症例のまとめ(小児科 相星壮吾)

指宿 菜の花通信(No.81)「田舎医者の流儀(56)・・・平成28年熊本地震」

 友人の脳外科医が定年退職し、新たなポジションに着くことになった。4月14日、二人で食事をした。午後9時過ぎに楽しい食事会を終え、帰宅途中のタクシーに緊急地震情報が流れた、間もなく信号待ちのタクシーが大きく揺れた。家に帰り着くと、熊本で大きな直下型の地震があったことをテレビが伝えていた。

 4月16日未明、更に大きな地震が起こった。私は自宅の2階に寝ていたが大きな揺れを感じた。2日を空けずに最大震度7の地震が起き、16日の地震が大きく、そちらが本震ということになった。その後も異例の展開を示している。連休中も震度4クラスの揺れがあり、余震が1250回以上(5月5日現在)となり、気象庁は収束の見込みも示せない状況だ。

 連休中、関西に所用があり、帰り5月4日山陽―九州新幹線に乗った。熊本を午後8時過ぎに通過したが、いつもと比べて、町の灯りが少なく、暗くなっている。走っている車も極めて少ない。被害の深刻さがうかがえる。被災者の大変なご苦労を思う、復興を願うばかりだ。

 東京大学地震研究所の古村孝志教授は 「海溝型のM8級の巨大地震であれば、地震が起きかけたプレート境界の状態変化が地震活動やわずかの地殻変動として観測に捉えられる期待があります。しかし、今回のような内陸活断層によるM7級の地震では、事前に『地震発生の予兆だ』と判断できるデータを得ることはできません。熊本地震のような内陸の地震は、『何の兆候もなく突然に起きるもの』と思っておいたほうがいいでしょう」と言う。

 更に別の専門家は 「阪神・淡路大震災のときも、死因の9割は住宅倒壊による『圧死と窒息死』なのです。つまり『地震で人が亡くなる』のではなく『潰れた家で人が亡くなる』のです。家の耐震化をはかり、家具を固定するなどして部屋の中を『安全な空間』にし家を強くすれば、地震は怖くなくなるのです」とも言う。

 「国土技術センターによると、日本の国土の面積は全世界の0.28%にすぎないが、世界で起こったマグニチユ-ド6以上の地震の20.5%が日本で起こっている。世界の活火山の7.0%が日本にある。 世界で起こった火山の噴火件数195~200件のうち、約1割が日本で起こっている。(人類と地球の大問題―真の安全保障を考える。丹羽宇一郎 PHP新書)。そんな国土に住んでいることを前提に、生活と安全を考えていきたい。

平成28年5月10日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

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指宿 菜の花通信(No.82)「田舎医者の流儀(57)・・・メラレウカ」

 火、水曜日は指宿での仕事なので、会合等なければ火曜日、指宿に泊まることにしている。宿泊は指宿いわさきホテルになることが多い。この時期、このホテルのアプローチ部の庭に、上に「綿」が乗ったような木がある。タクシーの運転手さんがオーストラリア原産のメラレウカという木だと教えてくれた。このホテルを運営する会社がオーストラリアでも同様の事業をやっているので、そんな関係でこの木がここにあるのかと推察した。

 私にとっては、初めて見る花だ。オーストラリア原産の木がこの地で育ち、可憐かつ独特な花を咲かしている。花言葉は「力強い味方」なのだそうだ。オーストラリア産であるので、乾燥と高温に適応する形でこのような花が出来たのかなと想像した。

 我々は、いろんな環境に適応するように動物や植物が進化したように考えがちであるが『ダーウィンは生物の進化に「目的」はなく、それは偶然の「結果」にすぎないと言う。現在では、その突然変異が遺伝子のミスコピーによって起こる事が判っている。突然変異を起こして親と違う形質を持った子は、当然ながら生き残りにくい。しかし中には、たまたまその形質が環境に合っていたために、生き残って子孫を残す個体もいる。それを何世代も重ねていくと、やがて祖先とは(サルとヒトぐらい)違う形質になる。従って、生物がまるで自ら目的や方向性を持って進化してきたように見えるのは、結果論にすぎない』(辺境生物はすごい:長沼毅 幻冬舎新書)という事らしい。

 東京の首長さんが相も変わらずのレベルの低い「お金」の問題で批判を受けている。公用車での別荘通い、家族旅行の費用を政治資金につけ回しをする等恥ずかしいかぎりだ。この手の問題は長年、繰り返されている。政治家になる人はそんな事を起こす「遺伝子」でも持っているのかと疑いたくなる。先日来日した、世界一貧乏な大統領といわれたウルグアイ元大統領ムヒカは「リーダーは平均的国民の生活感覚を失ってはならない」という。彼は農場に住み、そのように実践している。「慳貪」を嫌う、恥とする生き方は日本人の原点のように思うが、そんな政治家がこの国の主流になれない現状は何とも寂しいものだ。

平成28年5月25日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

新病棟通信 安全祈願祭が執り行われました

安全祈願祭

指宿メッセージ No.11 都市型災害と田舎の役割

 平成28年4月14日、16日、熊本で震度7の今まで経験したことの無い地震に見舞わられた。東日本大震災の教訓からかDMATなどの運用はスムーズに行った印象が有るが、慢性疾患を有する患者、成育医療と子育て世代のケアの対応は後手に廻った感がある。

 日本は世界有数の災害大国で常に自然の驚異に脅かされてきた一方、自然の恩恵も受けながら先祖代々生活をしてきた。自然災害の脅威は決して人の手で防げるものではないが、少しでも知恵を絞って対処することは可能である。熊本でも災害医療の中軸となった救急病院や医療行政機関が機能していたことは幸いであった。

 行政、経済、安全(医療)が災害で一変に機能不全に陥ったら最悪である。小説「首都崩壊(高嶋哲夫著)」ではないが、すべての中心が一極に集中していること自体が最大のリスクになっているのかもしれない。

 繰り返される災害に対し、全国はもとより、地域でも政治・経済・医療の機能を分散しておくのはどうだろう。例えば機能マヒに陥った都会の医療を助けるために田舎の病院が一時的に拠点になるような仕組みである。

 当院の敷地は広く、ヘリポートを有し、陸・海・空ルートからの搬送が可能で、桜島、川内原発から50km強離れている。来年春の新病棟移転後の旧病棟(耐震補強済み)を非常時医療施設や避難施設に使用できないだろうか。登録しているスタッフに集まってもらい、ボランティアの支援を頂ければ、一度に多くの患者さんを収容(100-200人)可能で、災害に立ち向かう強い災害復興システムが創れると思っている。但し、このシステムでは日頃からある程度機能を維持しておかなくてはならない。

 地域再生を地域の中だけで考えると人口減少が止まらない状況では尻すぼみになってしまう。何らかの付加価値をつけ、常日頃より田舎も活躍できる場を提供することが肝要である。都市の一大事に田舎が守るような形も地域創生の一つの形。期待に応えたいと思っている元気な地域は多いのではないだろうか。

平成28年5月18日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

平成28年5月10日(火)開催 指宿症例検討会レポート

 平成28年5月10日(火)、当院地域医療研修センターにて、指宿症例検討会を開催しました。

 『当院小児科にご紹介いただいた入院症例のまとめ』と題し、小児科部長相星医師により、講演致しました。地域の先生方、および当院職員の計84名が参加しました。

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 開会に先駆けて、田中院長より「このところ、小児科の新入院患者数は順調に増加し、地域の小児医療への貢献という役割を果たすことができていると考えています。今回の検討会が、更なる学習の場、小児医療の地域連携を深める場となれば幸いです」と挨拶がありました。併せて、病棟新築に向けた意気込みについての話もありました。

 講演では、紹介入院症例につき説明を行い、最後に、南薩地区唯一の小児科二次医療機関としての抱負を述べ、結びと致しました。

講演資料はこちら

当院小児科に御紹介いただいた入院症例のまとめ(小児科 相星壮吾)

指宿 菜の花通信(No.81)「田舎医者の流儀(56)・・・平成28年熊本地震」

 友人の脳外科医が定年退職し、新たなポジションに着くことになった。4月14日、二人で食事をした。午後9時過ぎに楽しい食事会を終え、帰宅途中のタクシーに緊急地震情報が流れた、間もなく信号待ちのタクシーが大きく揺れた。家に帰り着くと、熊本で大きな直下型の地震があったことをテレビが伝えていた。

 4月16日未明、更に大きな地震が起こった。私は自宅の2階に寝ていたが大きな揺れを感じた。2日を空けずに最大震度7の地震が起き、16日の地震が大きく、そちらが本震ということになった。その後も異例の展開を示している。連休中も震度4クラスの揺れがあり、余震が1250回以上(5月5日現在)となり、気象庁は収束の見込みも示せない状況だ。

 連休中、関西に所用があり、帰り5月4日山陽―九州新幹線に乗った。熊本を午後8時過ぎに通過したが、いつもと比べて、町の灯りが少なく、暗くなっている。走っている車も極めて少ない。被害の深刻さがうかがえる。被災者の大変なご苦労を思う、復興を願うばかりだ。

 東京大学地震研究所の古村孝志教授は 「海溝型のM8級の巨大地震であれば、地震が起きかけたプレート境界の状態変化が地震活動やわずかの地殻変動として観測に捉えられる期待があります。しかし、今回のような内陸活断層によるM7級の地震では、事前に『地震発生の予兆だ』と判断できるデータを得ることはできません。熊本地震のような内陸の地震は、『何の兆候もなく突然に起きるもの』と思っておいたほうがいいでしょう」と言う。

 更に別の専門家は 「阪神・淡路大震災のときも、死因の9割は住宅倒壊による『圧死と窒息死』なのです。つまり『地震で人が亡くなる』のではなく『潰れた家で人が亡くなる』のです。家の耐震化をはかり、家具を固定するなどして部屋の中を『安全な空間』にし家を強くすれば、地震は怖くなくなるのです」とも言う。

 「国土技術センターによると、日本の国土の面積は全世界の0.28%にすぎないが、世界で起こったマグニチユ-ド6以上の地震の20.5%が日本で起こっている。世界の活火山の7.0%が日本にある。 世界で起こった火山の噴火件数195~200件のうち、約1割が日本で起こっている。(人類と地球の大問題―真の安全保障を考える。丹羽宇一郎 PHP新書)。そんな国土に住んでいることを前提に、生活と安全を考えていきたい。

平成28年5月10日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

新病棟建替整備工事を開始しました

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