独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 12月 2016

指宿メッセージ No.14 電カル

 先日、電子カルテの入札が終わり、平成29年度5月1日からの運用が決まった。やっと当院も近代化の波が押し寄せる。「うそー!電カルじゃない。信じられない」と思うかもしれないが、患者さんに直接メリットがある大型医療機器などを優先したため、限りある投資枠の中で電カルは後回しとなってしまった。

 電カルは情報管理、指示や記載もれのチェック機能に関しては抜群の力を発揮し、かなり効率化されるのは間違いない。しかしながら、何か人間味を感じない無機質な印象を受けているのは私だけだろうか。医師になって34年になるが、若いころ万年筆で書かれた先輩のカルテに憧れさえ持っていた。カルテに描かれたシェーマ、病変を強調したデフォルメを加えたものも有るが、絵を見ただけで瞬時に病態が伝わってくる。外科医のスケッチの中には芸術品といってもおかしくないものもあった。

 今では、患者さんに説明する時も文字の羅列だけで、説明用の図が書けない医師もいる。患者さんや家族は理解できているのか心配である。検査報告書も版で押したような図が描いてあり、異常が有る部位は分かるものの、どの程度かは全く読めない。こんなことを書くと自分も年を取ってきたなと感じるが、分かりやすく説明する手立てを考えるのは私たちの仕事の中では重要な事だ。研修医の中には「胸部レントゲン所見の図を書きなさい」と話したところ、時間をかけて写実的スケッチをしている者もいた。唖然として尋ねてみると電カルのcopy and paste(コピペ)で済ましているため、医師になってシェーマを描いたことが一度もないと話していた。

 アナログ人間からは驚きのデジタル人間の出現。ただ、絶滅危惧種はアナログ人間の方だ。何かさびしい気がする。少なくとも電カルを上手に使いこなし、ゆめ電カルに使われないようにしなくてはならない。

平成28年12月28日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

指宿 菜の花通信(No.91)「田舎医者の流儀(66)・・・2016年」

 今年は長雨、豪雨、猛暑、それに久しぶりの台風16号の直撃等厳しい気候が続いた。一方、桜島は不気味な位静かである。お隣、熊本県では予想だにしなかった激しい直下型地震に見舞われた。予期せぬ災害に遭遇、「生きている星・地球」に暮らす我々の宿命かと嘆息する。更に、人間がこの地球環境を悪化させている為、気象変動の激しさが増している。

 英国が国民投票の結果、EU離脱を決定した。それに驚いていたら、米国大統領共和党候補にドナルド・トランプ氏が選ばれ、本選であっさり次期米国大統領に選ばれた。行き過ぎたグローバリゼーション、新自由主義のもとに進められてきた政策は貧富の差の拡大、中間層の没落をもたらした。世界の下位50%の資産は2010年には388人の最富裕層の資産と匹敵していたが、 12年は159人、14年は 80人と、格差は広がり富の寡占化が進行した。そんな中で、深刻なテロ・暴力が横行、安全な、当たり前の暮らしが阻害されている。これからの社会、庶民が安穏に暮らすにはどういう変革が必要になるのか、その処方箋を見いだせないでいることが社会不安を増大させている。

 フランスの文化人類学者、人口学者エマニュエル・トッドは「世界の先進国は①共同体的な信仰の喪失、②高齢化、③社会を分断する教育レベルの向上、④女性の地位の向上、と4つの共通する現状に直面しているという。ホモサピエンスの最初の重要な転換点は、新石器時代の到来。この革命で、農業が始まり、定住化が起き、人は狩猟者であることをやめた。そして2番目の転換点が3千年紀に入るところで始まった。そこで人は高齢化し、高い教育を受け、女性は男性以上に教育を受けることになる。そして、人はもはや何も信じなくなる。私たちはまったく新しい世界にいるという。」という。(エマニュエル・トッド著『グローバリズム以後―アメリカ帝国の失墜と日本の運命―』朝日新書、2016年)。この中で、今後の我々の在り様を問われているのだろう。

 平成27年度の医療費の推計値が発表になり、何と41.5兆円となるという。前年度に比べ3.8%増。高齢化に加えて、高額な新薬の登場等が原因という。医療の高度化の中で、費用の増加は避けられない、しかし、無制限に可能なわけではない。1961年以降、我が国は世界に冠たる国民皆保険を維持し、基本的に、国民が全て平等に、必要な医療が受けられる制度を確立してきた。これが我が国の安定と成長の基盤を担ったとも言える。今後、我が国が高齢化、人口減に向かう中で、国民が等しく必要な医療を受けられる制度をどのように維持していくのか、難しい課題に直面していくことになる。

平成28年12月26日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

1月マタニティーヨガ教室開催のお知らせ

指宿医療センターでは、指宿市のご協力のもと、当院通院中の妊婦さんを対象としたヨガ教室を開催いたしております。 ヨガの呼吸法、リラックス法には妊娠中の体調不良の改善効果、お産が楽になる効果があります。また妊娠中の運動不足やストレス解消にも役立ちます。どの妊娠週数でも参加可能ですので、多数のご参加をお待ちしております。

日 時: 平成29年1月25日(水)15時~(1時間程度)

場 所: 指宿医療センター リハビリテーション室

講 師: 前田 ことみ 先生 (指宿市役所)

参加費: 無料

平成28年度マタニティ-ヨガ教室日程

※参加ご希望の妊婦さんは産婦人科外来で申し込みを行ってください。

※水分補給のための飲料水、保温や動作時の補助具として用いるハーフケットをご持参ください。

国立病院機構指宿医療センター 産婦人科

℡:0993-22-2231(代表)

↓ご参照ください 「マタニティーヨガ教室のページへ

指宿 菜の花通信(No.90)「田舎医者の流儀(65)・・・抗生物質」

 寒くなってきた。風邪の患者さんが多くなっている。総合内科担当の私も少々忙しくなる。「先生、風邪引いたよ。早く治したいので抗生物質を出してよ。ついでに点滴もね。」と言う。「風邪に効く抗生物質はないよ。風邪はビールスで起こる(約9割)から抗生剤は効かないの。」「普通に飯食えているなら点滴も必要ないよ。」と話す。

 抗生物質は多くの命を救ってきた輝かしい歴史を持っている。「ニュ—ヨ—ク生まれの元看護師アン・ミラ—は、1942年、33歳のときに流産をした。引き続き連鎖球菌感染症(当時は殆ど助からない病気)を発症し、何時間も死の淵をさまよった。ミラーの体温は42℃に迄上がり、医者は最後の手段として、ある薬を試す許可を家族に求めた。薬の名はペニシリンといった。丸々一ヵ月にわたる高熱せん妄状態になっていたミラーは、小さじ一杯のペニシリンを注射された。数日後、彼女は完全に回復した。アン・ミラーは抗生物質によって命が救われた最初の人となった。」(アランナ・コリン 著(矢野真千子 訳)『あなたの体は9割が細菌』河出書房新社、2016年)

 私事になるが、先週、義理の兄が89歳、脳出血後の肺炎でなくなった。倒れる直前迄、健診の仕事に行っていた、高齢にもかかわらずきわめて元気であった。義兄は若い頃結核を患い、重症で、義兄の父親(結核治療の今で言う専門医)は治療は難しいと匙を投げかけていた。そこに、ストレプトマイシンという特効薬が手に入り、義兄は奇跡的に回復した。そんな話を姉に始めて聞かされた。ストマイのお陰で義兄は89歳までの60数余年の「生」を得たわけである。

 抗生物質は発疹、肝障害、ショックなど重大な副作用をもたらす事もあったが、それに余りある恩恵を与えてきた。しかし現在、抗生物質の使いすぎ、不適切使用、更に養鶏、養豚業での広範な使用(生産される抗生物質の7割はこの分野に使われているという)などが深刻な薬剤耐性菌問題を起こす要因の一つになっている。政府は4月「抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性菌の拡大を防ぐため、抗菌薬の使用量を2020年迄に今の2/3に減らす目標を立て、抗菌薬の乱用防止のため風邪、急性上気道感染症の外来患者に対する抗菌薬処方の規制などを行う方針」を打ち出した。

 抗生物質は「悪さをしている菌」のみでなく、「善良な菌」も殺す。腸内細菌の遺伝子解析が可能になり、その影響は腸内細菌叢にも及ぶ事が解ってきた。その結果、様々な現代病との関連が疑われるようになり、抗生物質の使用増が肥満、自閉症、アレルギー疾患の著増と関連する可能性すら示唆されるようになってきた。(マーチン・J・ブレイザー著(山本太郎 訳)『失われてゆく、我々の内なる細菌』みすず書房、2015年)

平成28年12月9日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

第4回指宿医療センター市民公開講座レポート

平成28年11月27日(日)指宿市民会館大ホールにおきまして、第4回指宿医療センター市民公開講座「いつまでもいきいきと住み慣れた地域で生活するために」が開催されました。当日は雨天にも関わらず300名を超える市民の皆様にご来場いただきました。

第1部:講演

講演①「健康寿命を延ばすために ~足の血管治療~」

講師 指宿医療センター統括診療部長 鹿島 克郎

最近話題の「健康寿命」をテーマに、生活習慣や運動の重要性、また長く運動を続けていくための足の血管治療についての講演を行いました。

講演PDF(講演①)のダウンロード

講演②「知っておきたい眼のこと ~よりよく見えるために~」

講師 指宿医療センター眼科医長 尾辻 太

緑内障や糖尿病網膜症などの眼疾患の説明や、罹患しやすい人の特徴、どのくらいの頻度で受診すればよいかなどを解りやすく解説いたしました。

講演PDF(講演②)のダウンロード

講演③「今日からやろう!!認知症予防!!」

講師 指宿医療センター作業療法士 池田 さやか

日本における認知症の動向や、認知症と加齢による物忘れとの相違点、日常の何気ない行動に認知症予防の効果があることなどを解説しました。
また、認知症予防となる指の体操や脳トレを会場の皆さんと実践しました。

講演PDF(講演③)のダウンロード

講演④「当院の患者相談窓口について ~地域医療連携室の活動内容~」

講師 指宿医療センター医療ソーシャルワーカー 林 大作

市民の皆様が安心して医療サービスを受けられるように支援する、患者相談窓口についての紹介や、実際の支援事例などをご紹介しました。

講演PDF(講演④)のダウンロード

第2部:質問コーナー

相星小児科部長の司会のもと、来場者の皆さんの質問にお答えしました。和やかな雰囲気の中、当日の講演に関する質問だけでなく、日頃市民の皆さんが疑問に思っていることや感じていることなど様々な話題が飛び交い、素晴らしい意見交換の場となりました。

<アンケートに記載された質問について>

当日はご来場誠にありがとうございました。アンケートにご記載いただきましたご質問へ回答致します。

Q.A.
72歳ですが、フルマラソンに向けてほぼ毎日30分~1時間ジョギングしております。今のところ体に痛みなど出ておりませんが、体にとって良いのでしょうか?フルマラソンの健康に及ぼす影響について科学的な調査は少ないですが、ボストンマラソン参加者での調査では、月間約300km以上走らないと有害だったとの報告があります。毎日30分~1時間ジョギングすることは健康に有益だと思いますが、フルマラソンは市民ランナーにとって有害な面もあるため注意が必要です。レース参加が日頃のモチベーションに繋がりますので、70歳以上の方では、10kmレースやハーフマラソンまでが健康面での問題は少ないと思います。
ブルーベリーの健康食品は眼科医は効果ありと考えておられるのでしょうか?摂取することに害は無いと思いますが、過剰に摂取する必要はないと考えています。他の健康食品やサプリメントと同じように金額に見合う効果があるのかどうかはわかりません。
家族が医療センターで外来診療を受けています。グループホームに入所していて、家族の連れ出しが介護に不慣れなため難しいです。頂いている薬についてなどお尋ねしたいのですが、患者本人を連れていかないとだめでしょうか?「薬に関する説明」であれば、患者さん本人が不在でも、ご家族や施設の方が来院頂ければ対応可能です。薬の処方に関しては、原則として、患者さんを診察した上で行う必要がありますので、詳しくは主治医へご相談ください。また、患者さんをご家族の方が連れて来るのが困難な場合は、訪問診療が出来る地域の医療機関への紹介も可能です。
当院について 院長あいさつ ロゴマークについて 新病棟のご紹介 病院の理念 病院概要 地域医療支援病院 鹿児島県がん診療指定病院 開放型病院 指宿医療センターヘリポート 臨床研修 地域医療研修センター 情報公開 個人情報ファイル管理簿 文書ファイル管理簿 「情報公開・個人情報保護総合案内所」に関する広報 法令違反に関する外部からの通報手続きについて 節電行動計画 バリアフリー情報 出前講座 絵画展示のご案内 イベントカレンダー DPCデータによる当院の病院指標 平成27年度 病院指標 平成28年度 病院指標 ボランティア募集 新病棟建設工事の進捗状況 医師募集
診療科紹介 消化器科 循環器科 総合診療内科 小児科 外科 泌尿器科 産婦人科 麻酔科 眼科
部門紹介 看護部 看護部の概要 教育体制 看護単位(病棟)の紹介 薬剤科 治験管理室 診療放射線科 研究検査科 栄養管理室 リハビリテーション科 医療安全管理室 地域医療連携室 ひなぎく病児保育室
外来のご案内 外来を受診される方へ 外来案内図 今月の外来担当医師 文書料および予防接種料 セカンドオピニオン 人間ドック 専門外来担当医師・診療時間 物忘れ外来 母乳外来 遺伝カウンセリング外来
入院のご案内 初めて入院される方へ 病棟案内図
コラム 目の前で人が倒れたら? 子どもの病気について 月経困難症について 女性ホルモンと骨粗しょう症について これからママになるみなさんへ たばこの害について
お知らせ アクセス お問い合わせ 採用情報 プライバシーポリシー サイトマップ
独立行政法人国立病院機構指宿医療センター
891-0498 鹿児島県指宿市十二町4145
【電話】
0993-22-2231 【FAX】0993-22-3149(ファックス) 【地域医療連携室FAX】0993-22-2772

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指宿メッセージ No.14 電カル

 先日、電子カルテの入札が終わり、平成29年度5月1日からの運用が決まった。やっと当院も近代化の波が押し寄せる。「うそー!電カルじゃない。信じられない」と思うかもしれないが、患者さんに直接メリットがある大型医療機器などを優先したため、限りある投資枠の中で電カルは後回しとなってしまった。

 電カルは情報管理、指示や記載もれのチェック機能に関しては抜群の力を発揮し、かなり効率化されるのは間違いない。しかしながら、何か人間味を感じない無機質な印象を受けているのは私だけだろうか。医師になって34年になるが、若いころ万年筆で書かれた先輩のカルテに憧れさえ持っていた。カルテに描かれたシェーマ、病変を強調したデフォルメを加えたものも有るが、絵を見ただけで瞬時に病態が伝わってくる。外科医のスケッチの中には芸術品といってもおかしくないものもあった。

 今では、患者さんに説明する時も文字の羅列だけで、説明用の図が書けない医師もいる。患者さんや家族は理解できているのか心配である。検査報告書も版で押したような図が描いてあり、異常が有る部位は分かるものの、どの程度かは全く読めない。こんなことを書くと自分も年を取ってきたなと感じるが、分かりやすく説明する手立てを考えるのは私たちの仕事の中では重要な事だ。研修医の中には「胸部レントゲン所見の図を書きなさい」と話したところ、時間をかけて写実的スケッチをしている者もいた。唖然として尋ねてみると電カルのcopy and paste(コピペ)で済ましているため、医師になってシェーマを描いたことが一度もないと話していた。

 アナログ人間からは驚きのデジタル人間の出現。ただ、絶滅危惧種はアナログ人間の方だ。何かさびしい気がする。少なくとも電カルを上手に使いこなし、ゆめ電カルに使われないようにしなくてはならない。

平成28年12月28日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博

指宿 菜の花通信(No.91)「田舎医者の流儀(66)・・・2016年」

 今年は長雨、豪雨、猛暑、それに久しぶりの台風16号の直撃等厳しい気候が続いた。一方、桜島は不気味な位静かである。お隣、熊本県では予想だにしなかった激しい直下型地震に見舞われた。予期せぬ災害に遭遇、「生きている星・地球」に暮らす我々の宿命かと嘆息する。更に、人間がこの地球環境を悪化させている為、気象変動の激しさが増している。

 英国が国民投票の結果、EU離脱を決定した。それに驚いていたら、米国大統領共和党候補にドナルド・トランプ氏が選ばれ、本選であっさり次期米国大統領に選ばれた。行き過ぎたグローバリゼーション、新自由主義のもとに進められてきた政策は貧富の差の拡大、中間層の没落をもたらした。世界の下位50%の資産は2010年には388人の最富裕層の資産と匹敵していたが、 12年は159人、14年は 80人と、格差は広がり富の寡占化が進行した。そんな中で、深刻なテロ・暴力が横行、安全な、当たり前の暮らしが阻害されている。これからの社会、庶民が安穏に暮らすにはどういう変革が必要になるのか、その処方箋を見いだせないでいることが社会不安を増大させている。

 フランスの文化人類学者、人口学者エマニュエル・トッドは「世界の先進国は①共同体的な信仰の喪失、②高齢化、③社会を分断する教育レベルの向上、④女性の地位の向上、と4つの共通する現状に直面しているという。ホモサピエンスの最初の重要な転換点は、新石器時代の到来。この革命で、農業が始まり、定住化が起き、人は狩猟者であることをやめた。そして2番目の転換点が3千年紀に入るところで始まった。そこで人は高齢化し、高い教育を受け、女性は男性以上に教育を受けることになる。そして、人はもはや何も信じなくなる。私たちはまったく新しい世界にいるという。」という。(エマニュエル・トッド著『グローバリズム以後―アメリカ帝国の失墜と日本の運命―』朝日新書、2016年)。この中で、今後の我々の在り様を問われているのだろう。

 平成27年度の医療費の推計値が発表になり、何と41.5兆円となるという。前年度に比べ3.8%増。高齢化に加えて、高額な新薬の登場等が原因という。医療の高度化の中で、費用の増加は避けられない、しかし、無制限に可能なわけではない。1961年以降、我が国は世界に冠たる国民皆保険を維持し、基本的に、国民が全て平等に、必要な医療が受けられる制度を確立してきた。これが我が国の安定と成長の基盤を担ったとも言える。今後、我が国が高齢化、人口減に向かう中で、国民が等しく必要な医療を受けられる制度をどのように維持していくのか、難しい課題に直面していくことになる。

平成28年12月26日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

1月マタニティーヨガ教室開催のお知らせ

指宿医療センターでは、指宿市のご協力のもと、当院通院中の妊婦さんを対象としたヨガ教室を開催いたしております。 ヨガの呼吸法、リラックス法には妊娠中の体調不良の改善効果、お産が楽になる効果があります。また妊娠中の運動不足やストレス解消にも役立ちます。どの妊娠週数でも参加可能ですので、多数のご参加をお待ちしております。

日 時: 平成29年1月25日(水)15時~(1時間程度)

場 所: 指宿医療センター リハビリテーション室

講 師: 前田 ことみ 先生 (指宿市役所)

参加費: 無料

平成28年度マタニティ-ヨガ教室日程

※参加ご希望の妊婦さんは産婦人科外来で申し込みを行ってください。

※水分補給のための飲料水、保温や動作時の補助具として用いるハーフケットをご持参ください。

国立病院機構指宿医療センター 産婦人科

℡:0993-22-2231(代表)

↓ご参照ください 「マタニティーヨガ教室のページへ

指宿 菜の花通信(No.90)「田舎医者の流儀(65)・・・抗生物質」

 寒くなってきた。風邪の患者さんが多くなっている。総合内科担当の私も少々忙しくなる。「先生、風邪引いたよ。早く治したいので抗生物質を出してよ。ついでに点滴もね。」と言う。「風邪に効く抗生物質はないよ。風邪はビールスで起こる(約9割)から抗生剤は効かないの。」「普通に飯食えているなら点滴も必要ないよ。」と話す。

 抗生物質は多くの命を救ってきた輝かしい歴史を持っている。「ニュ—ヨ—ク生まれの元看護師アン・ミラ—は、1942年、33歳のときに流産をした。引き続き連鎖球菌感染症(当時は殆ど助からない病気)を発症し、何時間も死の淵をさまよった。ミラーの体温は42℃に迄上がり、医者は最後の手段として、ある薬を試す許可を家族に求めた。薬の名はペニシリンといった。丸々一ヵ月にわたる高熱せん妄状態になっていたミラーは、小さじ一杯のペニシリンを注射された。数日後、彼女は完全に回復した。アン・ミラーは抗生物質によって命が救われた最初の人となった。」(アランナ・コリン 著(矢野真千子 訳)『あなたの体は9割が細菌』河出書房新社、2016年)

 私事になるが、先週、義理の兄が89歳、脳出血後の肺炎でなくなった。倒れる直前迄、健診の仕事に行っていた、高齢にもかかわらずきわめて元気であった。義兄は若い頃結核を患い、重症で、義兄の父親(結核治療の今で言う専門医)は治療は難しいと匙を投げかけていた。そこに、ストレプトマイシンという特効薬が手に入り、義兄は奇跡的に回復した。そんな話を姉に始めて聞かされた。ストマイのお陰で義兄は89歳までの60数余年の「生」を得たわけである。

 抗生物質は発疹、肝障害、ショックなど重大な副作用をもたらす事もあったが、それに余りある恩恵を与えてきた。しかし現在、抗生物質の使いすぎ、不適切使用、更に養鶏、養豚業での広範な使用(生産される抗生物質の7割はこの分野に使われているという)などが深刻な薬剤耐性菌問題を起こす要因の一つになっている。政府は4月「抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性菌の拡大を防ぐため、抗菌薬の使用量を2020年迄に今の2/3に減らす目標を立て、抗菌薬の乱用防止のため風邪、急性上気道感染症の外来患者に対する抗菌薬処方の規制などを行う方針」を打ち出した。

 抗生物質は「悪さをしている菌」のみでなく、「善良な菌」も殺す。腸内細菌の遺伝子解析が可能になり、その影響は腸内細菌叢にも及ぶ事が解ってきた。その結果、様々な現代病との関連が疑われるようになり、抗生物質の使用増が肥満、自閉症、アレルギー疾患の著増と関連する可能性すら示唆されるようになってきた。(マーチン・J・ブレイザー著(山本太郎 訳)『失われてゆく、我々の内なる細菌』みすず書房、2015年)

平成28年12月9日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

第4回指宿医療センター市民公開講座レポート

平成28年11月27日(日)指宿市民会館大ホールにおきまして、第4回指宿医療センター市民公開講座「いつまでもいきいきと住み慣れた地域で生活するために」が開催されました。当日は雨天にも関わらず300名を超える市民の皆様にご来場いただきました。

第1部:講演

講演①「健康寿命を延ばすために ~足の血管治療~」

講師 指宿医療センター統括診療部長 鹿島 克郎

最近話題の「健康寿命」をテーマに、生活習慣や運動の重要性、また長く運動を続けていくための足の血管治療についての講演を行いました。

講演PDF(講演①)のダウンロード

講演②「知っておきたい眼のこと ~よりよく見えるために~」

講師 指宿医療センター眼科医長 尾辻 太

緑内障や糖尿病網膜症などの眼疾患の説明や、罹患しやすい人の特徴、どのくらいの頻度で受診すればよいかなどを解りやすく解説いたしました。

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講演③「今日からやろう!!認知症予防!!」

講師 指宿医療センター作業療法士 池田 さやか

日本における認知症の動向や、認知症と加齢による物忘れとの相違点、日常の何気ない行動に認知症予防の効果があることなどを解説しました。
また、認知症予防となる指の体操や脳トレを会場の皆さんと実践しました。

講演PDF(講演③)のダウンロード

講演④「当院の患者相談窓口について ~地域医療連携室の活動内容~」

講師 指宿医療センター医療ソーシャルワーカー 林 大作

市民の皆様が安心して医療サービスを受けられるように支援する、患者相談窓口についての紹介や、実際の支援事例などをご紹介しました。

講演PDF(講演④)のダウンロード

第2部:質問コーナー

相星小児科部長の司会のもと、来場者の皆さんの質問にお答えしました。和やかな雰囲気の中、当日の講演に関する質問だけでなく、日頃市民の皆さんが疑問に思っていることや感じていることなど様々な話題が飛び交い、素晴らしい意見交換の場となりました。

<アンケートに記載された質問について>

当日はご来場誠にありがとうございました。アンケートにご記載いただきましたご質問へ回答致します。

Q.A.
72歳ですが、フルマラソンに向けてほぼ毎日30分~1時間ジョギングしております。今のところ体に痛みなど出ておりませんが、体にとって良いのでしょうか?フルマラソンの健康に及ぼす影響について科学的な調査は少ないですが、ボストンマラソン参加者での調査では、月間約300km以上走らないと有害だったとの報告があります。毎日30分~1時間ジョギングすることは健康に有益だと思いますが、フルマラソンは市民ランナーにとって有害な面もあるため注意が必要です。レース参加が日頃のモチベーションに繋がりますので、70歳以上の方では、10kmレースやハーフマラソンまでが健康面での問題は少ないと思います。
ブルーベリーの健康食品は眼科医は効果ありと考えておられるのでしょうか?摂取することに害は無いと思いますが、過剰に摂取する必要はないと考えています。他の健康食品やサプリメントと同じように金額に見合う効果があるのかどうかはわかりません。
家族が医療センターで外来診療を受けています。グループホームに入所していて、家族の連れ出しが介護に不慣れなため難しいです。頂いている薬についてなどお尋ねしたいのですが、患者本人を連れていかないとだめでしょうか?「薬に関する説明」であれば、患者さん本人が不在でも、ご家族や施設の方が来院頂ければ対応可能です。薬の処方に関しては、原則として、患者さんを診察した上で行う必要がありますので、詳しくは主治医へご相談ください。また、患者さんをご家族の方が連れて来るのが困難な場合は、訪問診療が出来る地域の医療機関への紹介も可能です。