独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

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指宿メッセージ No.06 昔ながらの日本の医療

2015年8月24日(月) 指宿メッセージ


 田舎の救急医療が危ない。医師不足、医師の高齢化、医療機関の撤退・閉鎖、救急医療拒否など何処も大変な状況である。頼みのドクターヘリも、昼間は完璧な救急医療を保障できるものの、夜間は全くの無力。どのような形が良いのか、どの地域も頭を悩ませている。


 指宿では「この地で開業しているのであれば、自分の患者は、まずは自分で診るのが当たり前」という考えが基本になっている。他の業種であっても自然な考え方ではないだろうか。そのため、救急搬入先もまずは「かかりつけ医」に、次に「輪番医」に、そして「2次救急医療対応施設」の3段階方式になっている。煩雑、非効率的と思うかもしれないが、救急連絡の話で、1,2,3(イチニのサン)で搬送先が決まるシステム。このシステムのおかげで1次救急や時間外の軽症患者さんを開業医で診てくれるために当院は主に2次救急に専念できる。地域完結型医療を地元の医療機関で役割を分担し、全員で運営しているやり方だ。そのためいわゆる「たらい回し」が指宿地区はほとんどない(年間に1-3件)。また南薩医療圏(2次医療圏)全体の鹿児島市への搬送率が6.9%に対し、指宿地区のみでは2.8%と低くなっている(平成24年急病での救急患者搬送先人員より)。


 当院への年間救急車搬入件数は平成18年283件に対し、平成26年874件と年々増加、今年度の救急車出動件数に対する当院搬入率は約50%を占めており、我々が目指す地域中核病院らしくなってきた(図1)。一方、時間外患者数は減少傾向である。地域の限られた医療資源を有効に使うシステムのおかげである。


図1
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 さて、夜間急病センターで急患に対応する地域も有る。すっきりとした分かりやすいシステムではあるものの、豊富な医療資源がある都市部では可能なシステムで田舎では維持が困難ではなかろうか。指宿方式は何も新しい方式ではなく、一言で言うと日本の昔ながらの医療の形である。


 各地域によって事情は異なるが、地域にかかわる医療関係者が地域の健康を守ると言う高い意識を持ち、今できる最善の地域救急体制を作るべきである。今、うまく機能している指宿方式も10年後通用するかは残念ながら不明で、時代とともに対応策を考えなくてはならないだろう。


 新たに総合診療専門医が導入される事になったが、単なる形だけの資格に終わらず、実のある制度になってもらいたい。ゆめ「総合診療専門医でないので、地域医療に従事できない」と言う事が無いように願っている。



平成27年8月24日


 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博


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