独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

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指宿メッセージ No.09 ポイント専門医

2016年3月2日(水) 指宿メッセージ


 良い医者を育てる(ペーパー専門医からポイント専門医へ)


 良い医者になるために、若手医師の教育はどうあるべきか、本物の専門医を養成するためにはどうすべきかといろいろと検討されている。新研修医制度や平成29年度から始まる新専門医制度などもそのひとつである。


 現行の専門医は学会間で差異も大きく、ゆるい制度だったのは確かで、そのためにペーパー専門医も存在していたのも事実である。その反省を踏まえ、新専門医制度では経験すべき疾患および症例数(ポイント数)も設定され、言わばポイント専門医と言ってもいいかもしれない。必須症例をくまなく経験させようと言う親心的な意味も有るかもしれない。


 専門医の中で内科、外科は対象が広いため、まずは一般の内科、外科専門医を取得し、さらにサブスペシャリストとなる専門分野を専攻する2階建て方式となる。卒業して約10年間は研修医、専攻医プログラムに入らなくてはならず、ポイント集めをしなくてはならない。中にはポイント獲得が仕事の中心になってしまいそうで怖い。


 おそらく、専門医の質が均一化され、医師間の差異が無くなり、新専門医制度の成果は出ると予想される。一方、診断マニュアル、治療マニュアルに即した治療以外は認めない、あるいは経験と勘による医療は邪道と見なす傾向が加速されるかもしれない。


 これで良い医師が育つのか。昔は医学部卒業後、ある意味自由で、本人任せ。良い医者になるも、ならぬも本人次第であった。評価するのは患者さんや住民で、すべて自己責任であった。


 勉強はあまりしなかったけど他人にやさしい医師もいれば、愛想は無いけど素晴らしい医療技術を有する医師もいた。卒業と同時に基礎医学の道に進み、臨床はできないが世界的な仕事をする研究医師も育った。この格差こそが問題に成ったのかもしれないが、一方、なんか人間的で魅力が有るように感じられるのは私だけであろうか。


 「なぜ、この病気を疑ったのですか?」と聞くと「勘」と答える先輩医師にもあこがれたものだ。



平成28年3月2日


 国立病院機構指宿医療センター 院長
 田 中 康 博


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