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第3回 宿泊研修を終えて

 6月9日(金)夕方から10日(土)午前まで第3回職員合同宿泊研修会をベイヒルズホテルで開催しました。
“患者さんのこれまでの人生に寄り添った医療の実現を目指して”このテーマで石本 田鶴子先生を講師にお招きしました。
 石本先生は別府市を本拠地とし、九州内外各方面で人材育成のコミュニケーション研修やコーチングを展開し、受講者は延べ1万人になるそうです。当院での講演は3回目になりますが、今回も新しい気づきがありとても充実した研修でした。2日間で延べ63名の職員参加がありました。

 今回の研修で私が学んだことをいくつか紹介します。
 コミュニケーションの核心テーマ「自己重要感」が大きなカギを握っています。
人間の根源的欲求である自己重要感とは、「自分が価値のある存在であること」を自分自身でも思っていたいし、他人からも認めて欲しいとする人間の深層心理です。
この「自己重要感」が満たされない日々が続くと仕事へのやる気がなくなり、マイナス思考に陥り、愚痴や不満が多くなり憂鬱な毎日を送ることになります。

 相手の「自己重要感」を満たすために是非やって欲しいことが、言葉の投げかけ「プラスのストローク」です。思ったり、感じたり、察したりしたプラスのことを口にすると相手は「心のコップ」が満たされ「自分の価値」を認めてもらったと実感します。
具体的には、ほめる、ねぎらう、認める、励ます等の言葉の投げかけや「有難う」「おかげで助かりました」などの感謝の気持ちを言葉で表すと相手の「自己重要感」が満たされます。毎日、3人に対してプラスのストロークを実践することで、チーム力がアップするそうです。そして、患者さんに寄り添った気持ちも育むことができます。

 2日目には「何があったら、どんな工夫をしたら、どんな考え方をしたら、もっと寄り添える医療ができるか?」を8班でそれぞれ、3つずつ具体的に出し合いました。
 まず、どの班でも「笑顔で挨拶」、「自発的な挨拶」、「忙しいからこそ声掛け」「忙しくても3分程度は立ち止まって丁寧に対応できる」など挨拶の重要性が指摘されました。
次に「患者さんのこれまでの人生に興味を持つ」、「職業は?」、「先入観をなくして患者さんの思いに寄り添う」、「家族の立場で考える」、そしてこれらの情報を多職種間で共有することが挙げられました。

 今回のテーマは医療者にとり深く大きい永遠のテーマともいえますが、参加した職員を中心に「プラスのストローク」を各職場で実行し継続してください。「指宿医療センターで良かった」 と患者さんやご家族に思って頂ける病院に成長すると思います。

令和5年6月13日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 鹿 島 克 郎