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指宿 菜の花 通信(No224) 田舎医者の流儀(199)・・・バス乗客

 寒さは続いているが確実に春の足音が感じられる。3号線沿いの梅の木が花を咲かせてきた。これから桃の花、山桜と順次開花が進んでいく。農園の梅も白い花を咲かせ、この花の蜜を求めてメジロがやってくる。独特の甘いような梅の香りがメジロを引き寄せているようだ。

 相変わらず、バスを利用して農園を行き来している。基本、朝一番早い便に乗る。出勤と思える人々が乗ってきて、決まったところで降りていく。以前、80歳代の男性があるバス停で、いつも「敬老パス」を右手に大きく掲げて乗る意思を示していた、その様がユーモラスであった。ガソリンスタンドに勤めているらしくその近くで降りていた。最近、このご老体の姿が見えなくなった。病気でもされたかなと気になる。寒くても暑くても、変わらず日々を営む人々を好ましく思う。

 30歳代のご婦人で、目の不自由な方が乗ってくる。その方のファッションセンスの良さに驚かされる。目が不自由であられるので、自分で服のコーディネートをされるわけにはいかないだろうに、誰かがサポートしてくれるのであろう。毎回服から靴、バッグ迄センス良く着こなしておられる。周りが支えあって、この方は豊かに暮らしておられるのではと勝手に想像する。

 先日来寒さが酷く雪が降ったりしたので、乗るバスを1時間ほど遅くした。高校生が多く乗っている。びっくりするのは彼らの乗車態度。2人席を一人で占め、カバンなど道具を横に置いている。ほとんどが寝たふり(?)をしていて、他の乗客が多く立ちんぼうしていても知らんぷり。毎回同じ様なのでこの高校生たちはこのような乗車態度を当たり前と思っているのであろう。バスの運転手さんも譲り合ってくださいとは言わない。こんなことがいつから始まったのか、こんな小さなマナー違反を見逃して行ったら世の中だんだん暮らしにくくなそうだ。

 バス待ちをしている若者の態度もいただけない。殆どが携帯とにらめっこしていて、乗る意思があるのかどうか判らない。乗車するのであればそれなりに態度を示せば良いように思うけど、そんなそぶりも見せない。なんだか変だと思うよ。

 コロナの期間中皆さんマスクを忘れずに付けていた。私は一度ならずマスクを忘れ恥ずかしい思いをした。多くの乗客は大声で話すこともせず、ルールを守っている。ただ、時々大声でしゃべったり、携帯で話している人がいる。どこにもルール破りの人はいるけど、運転手さんが注意して欲しいね。

令和5年2月22日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦