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指宿 菜の花 通信(No236) 田舎医者の流儀(211)・・・地球沸騰

 台風6号は西に向かっていたが、急に東寄りに向きを変え、更に奄美大島付近で今度は北方向に向い、東シナ海を北上するコースを取った。9日枕崎西方を北上したが時速10㎞しか進まず、鹿児島は長時間強風・暴風に曝された。山形屋、アミュプラザなど商業施設は2日間も休業となり、JRや路線バスも終日運航中止となった。

 鹿児島での今回の台風の人的被害は軽微であったが、収穫期の近いイネや農産物の被害状況は未だははっきりしていない。大雨に見舞われた地区もあったが大きな被害は報告されていない。8・6水害から30年、あの時を思い出すと災害への備えを怠ってはならない。小山田の農園はコスモスが2本倒れている以外は大きな被害はなかった。

 世界の異常気象が猶予ならない事態に陥っている。 世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は27日、2023年7月の世界の平均気温が過去最高を更新する公算が極めて高いと発表した。 気温の上昇でギリシャロードス島では山火事発生数千人の観光客が避難、米国も南西部が酷暑に見舞われたほか、中国の北西部の町で気温が52.2度まで上がり国内の過去最高記録を更新するなど、各地で影響が出ている。

 WMOは8月に最終的なデータがそろうまで記録更新の認定を控えるが、ドイツのライプチヒ大学は27日、23年7月の記録更新を発表した。EUのデータによると、今年7月の世界の気温はこれまで過去最高だった2019年7月を少なくとも0.2度上回る見込み。 ライプチヒの気候科学者カールステン・ハウシュタイン氏は、19年7月との差は「あまりにも大きく、(今年)7月の気温が最も高くなると今の段階で絶対的な確信をもって言える」と述べた。

 国連のグテレス事務総長はニューヨークで記者団に、「月末を待つまでもない。今後数日間、ミニ氷河期が到来しない限り、2023年7月は全面的に記録を塗り替えるだろう」と述べた。「これこそが気候変動で、恐ろしいことだ。そしてこれは始まりに過ぎない」とも発言し、「地球が沸騰する時代がやってきた」と危機感を示した。「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した。化石燃料の利益と気候変動に対する無策は容認できない」  「人類の責任だ」として各国に対策強化を訴えた。」自国の経済利益を優先し、多くの指導者が無関心に見えるのは残念だ。特に「大国」の責任は重大だ。地球全体を破滅に導いている大国の指導者たちには地球の未来に対する責任を果たしてほしいと思う。個人的には1分・1秒でも無駄な電気を消す生活を続ける。

令和5年8月16日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦