ホーム » 指宿 菜の花 通信(No250) 田舎医者の流儀(225)・・・・佐々木選手の挑戦に拍手

指宿 菜の花 通信(No250) 田舎医者の流儀(225)・・・・佐々木選手の挑戦に拍手

 高校歴代最多の通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)の佐々木麟太郎内野手(3年)が、米国のスタンフォード大に進学するという。投打でメジャーを席巻する花巻東OBのドジャース大谷の二刀流と形は違うが、佐々木麟も野球と勉強で最高峰を追い求める、超名門校で究極の文武両道に挑む。佐々木麟は「野球だけできる人間ではなく、野球もできる人間になりたい」をモットーに掲げる。入学するスタンフォード大は、世界に名だたる最難関大学。関係者によると、野球をやめた後の人生も考慮し、あえて険しい道に進むものとみられる。

 スタンフォード大学はアメリカ西海岸にある世界有数の大学で、ノーベル賞受賞者も一大学で日本人受賞者数をはるかに越えている。又、スポーツの名門大学でもあり、2016年リオデジャネイロオリンピックでは27個のメダルを獲得、アメリカの獲得した全メダル121個の22%を占めたそうだ。全米大学体育協会による米国大学のスポーツの強さを示すランキングで23年連続一位となっている。ここ出身のプロアスリートも多く、ゴルフのタイガー・ウッズなど、野球、バスケットボール、アメフトなどに有名選手を輩出している。

 佐々木選手は「世界でもトップの大学であることは重々承知した上での覚悟。不安もあったが、コンディショニングとサポートが充実しているというところで、最後は自分自身で決断しました。言わずと知れたすばらしい大学で勉強させていただくこと、野球選手としてプレーさせていただくことは光栄で、誇りに思います」「野球(の面)だけで決断したわけではありません。自分自身の人生観として、『一瞬の喜びではなく一生の喜びを』いう考えがあります。野球だけでなく学業にもこだわっていました。英語の部分は自分自身まだまだですし、これからあっち(米国)でも学んで、言語も文化も、いろんな思考を持つ方々と出会って交流したい。より高い知識や知恵、さらに思考を構築していけるんじゃないかと思います」(ネット記事より引用)

 野球の実績は十分にあるが学業の実績はわからない。しかし、この決断の背景にはおそらく、佐々木選手の持つ「学業能力」の高さがあり、監督でもある父親も十分にやっていけると判断したと思われる。文武両道の険しい道を切り開こうとする東北の青年に拍手を送りたい。

 信じられないような能力を持つ人々がいる。ピアニスト辻井伸行さんは全く視力がない、全ての曲を耳から聞いて暗譜していく。将棋の藤井壮太さんも常人の理解を超えたところにいる。人の能力には無限の可能性が秘められているようだ。文武両道で高いレベルを目指す佐々木選手に拍手を送りたい。

令和6年3月7日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦