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指宿 菜の花通信(No.1)「定年医師、総合内科医師をめざす。」

18歳の青年男子が就職試験の健康診断書を作成に来た。GOTが104と上昇していた。さて何だろうと思い、消化器内科の医師に診てもらうことにした。

「先生、この青年はここ数日激しい筋トレをしていて、念のためCPKをチェックしたら、1040と上がっていました。筋トレのためのGOT上昇で、病的なものではないようです。」

私は循環器専門ですので、CPKが上昇していると、筋肉由来のものを考える習慣はあるが、GOTが上昇していてそれは考えなかった。言われてみれば、当然であり、新米の「総合内科医」としては厚顔の至りであった。

この4月、国立病院機構鹿児島医療センターを定年となり、指宿病院非常勤医師(週3日)となり、総合内科医の辞令を受けた。

医師になって40年、その大半を循環器医師として働いてきたが、今後は総合内科医を担当することになった。

前の病院ではそれなりに循環器医師として認知されていたが、ここではそうはいかない。循環器の患者さんを診ると、「今日は循環器専門の先生は診てくいやらんとな」不満顔である。「すみません、私も一応循環器専門医ですけど」と弁解しながら診ている。

総合内科医ですので、風邪、腹痛、健康診断まで何でも診ることになる。循環器専門外来だけやってきた「頭」を「総合内科」に切り替えなくてはならない。65歳の古ぼけた「頭」が切り替わるものか、楽しみだ。

平成21年10月30日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦