独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

指宿 菜の花通信(No.104)「田舎医者の流儀(79)・・・春愁」

2018年1月31日(水) 菜の花通信

 指宿医療センターの病棟からは眼下に穏やかな錦江湾と大隅半島の山々がよく見え、癒されるオーシャンビューである。日の出は対岸、大隅半島の山の上に出て真正面に見える、見事なものだ。先日は日の出前に、内之浦から打ち上げられたロケット(イプシロン3号)がよく見えた。炎のような尾を引いて飛び立っていった。打ち上げは成功し、小型ロケット、高性能、低価格で意義深い成功なのだそうだ。その後、オーロラのような夜光雲が各地で見られ、ニュースになった。日本のロケット屋さん達がいつまでも、人々の幸せのために仕事出来ることを願いたい。

 今年も多くの年賀状を頂いた、年一回の消息でも嬉しい。同級生のK君はゴルフの名手だが、この歳になってもまだ70台でまわっているという。90を切るのも少なくなった我が方としたら羨ましいかぎりだ。しかし、当方とてまだまだ発展途上(!!)、練習すると良くなるかもと妄想を持ったりする。今年の年賀状には「元気にしていますか」という問いかけが多かった。昨年3月で殆どの公職を退いて「隠居」したので、いろんな場面で名前の出ることが少なくなった所為であろう。

 「 春愁や老医に患者なき日あり 」(播水)(神戸で内科を開業している医師の句という)この句に作家五木寛之は「若い頃どこかの大病院の院長として活躍され、名医とうたわれた医師がいる。退職後まだまだ人の役に立ちたいと自宅に診療所を開かれた。日々、あのおばあちゃんはどうしているだろう、あの子の体調はどうかと考えて、過ごしているうちに、やがて年月がたち、老いもさらに深まってきた。ある日いつものように白衣を着て診察室で待っているけれどどういうわけか患者さんが誰も来ない。そのうち、こういう日が続いて、いつか誰ひとり訪れる人がいないときが来るんだろうなと思いながら窓の外を見ると桜がちらほら散り始めている。やわらかい陽ざしの中でぼうっとしながら老医師がしみじみと来し方行く末を考えている風景」、こんな情景をイメージするという。(五木寛之著『孤独のすすめ-人生後半の生き方』中公新書ラクレ、2017年)

我が身にも、形は違ってもそう遠くないうちに、そんな日が訪れるだろう、心穏やかにその日を迎えたいものだ。それまで、今まで忙しさにかまけて、足りなかった部分を補いながら診察を続けられたらいいなと思う。患者さんが言いたい事、聞きたい事を全部話して、心地良い気持ちで帰ってもらえたら嬉しい。リップサービスだとしても、今日は「先生に会えて良かった」と言ってもらえたら素直に喜びたい。心が通じあう患者さんとの交流が「おいぼれ」のエネルギーとなってくれたら、もう少し働けるか。ただそうは言っても、診察は怜悧に科学的な側面がある、そこをないがしろには出来ない。医者としての矜持を持ち続けないといけないと自戒する。

平成30年1月31日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦


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