独立行政法人国立病院機構指宿医療センター

月アーカイブ: 10月 2013

指宿 菜の花通信(No.48)「田舎医者の流儀(23)・・・桜島」

今年の夏、お盆までは桜島の降灰が少なく、「今年は灰が少ないね」と話していた。しかし、お盆を過ぎたら、例年のごとく「どか灰」にみまわれている。桜島の爆発は本日で900回以上、回数が減っていたわけではなく、風向きが鹿児島市方向に向いていなかったため、降灰が少なかっただけ。本来の東風になって、鹿児島市は灰神楽の中にある。雨も少ないので、少しの風で積もった灰が舞い上がっている。タクシーの運転手が、こんな日々が続くとコインランドリーが繁盛すると教えてくれた。本県は、人口あたりのコインランドリーのお店が沖縄県に次いで2番目に多いそうだ。

私は鹿児島市内の高校に入ったが、それ以降、ずーと桜島は爆発し、降灰が続いている。先日のニュースで今の噴火は60年続いていると言っていたので、改めて桜島のエネルギーの大きさに驚嘆する。錦江湾の奥、北寄りの部分は姶良カルデラからなる。これは29000年前大噴火で形成され、桜島はその南寄りの縁を形成するように26000年前に出来てきたという。桜島は誕生以来17回の大噴火を起こし(地層の研究)、記録に残った有史以降5回の大噴火がある。

特に1914年の大正大噴火では桜島は大隅半島とくっ付いてしまい、島ではなくなった。マグマは現在、大正噴火の前の7~8割に回復しており、地震などによる地盤の歪みが圧力となり、大噴火を起こす可能性は否定できないと考えられている。

九州は阿蘇、加久籐、姶良、阿多、鬼界カルデラが並んでいる。まさに火山の上に出来た大地だ。加久籐カルデラが最深部のマグマ溜まりから噴火を起こし(じょうご型破局的噴火)、鹿児島市、宮崎市、川内など、全方位に火砕流が及び、鹿児島県庁なども飲み込まれ全滅、更に、厚い火山灰が東京まで及び北海道、沖縄を除き、ほぼ日本全体が壊滅するという恐ろしい小説がある。(「死都日本」、作者は宮崎医大を出た医師、火山おたくの石黒耀さん)。

それは日本のみに止まらず、火山灰に覆われた北半球は気温が低下し、農作物は育たず、世界的深刻な食糧危機に見舞われる。こうした破局的噴火はあり得ない話ではなく、地球という星は長い歴史の中で、こういう事態を何度も起してきた。地震では国は滅びないが、火山の破局的噴火では国が滅びると作者はいう。ボンベイが地下に埋まったベェスビィオ火山の大噴火はその例だという。

「日本は世界の陸地面積のわずか0.28%しかない国土に歴史上の大噴火の一割が集中している」(養老孟司東大名誉教授)。我々は、そんな危うい土地の上に生活し、地震、津波、火山噴火などの天災に見舞われながら、その上に町、都市を作り、再建してきた。しかし、福島の原発事故はそこに「放射能」が絡むと再建が難しい事を示している。その事を重く受け止めたい。

平成25年10月22日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦

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指宿 菜の花通信(No.48)「田舎医者の流儀(23)・・・桜島」

今年の夏、お盆までは桜島の降灰が少なく、「今年は灰が少ないね」と話していた。しかし、お盆を過ぎたら、例年のごとく「どか灰」にみまわれている。桜島の爆発は本日で900回以上、回数が減っていたわけではなく、風向きが鹿児島市方向に向いていなかったため、降灰が少なかっただけ。本来の東風になって、鹿児島市は灰神楽の中にある。雨も少ないので、少しの風で積もった灰が舞い上がっている。タクシーの運転手が、こんな日々が続くとコインランドリーが繁盛すると教えてくれた。本県は、人口あたりのコインランドリーのお店が沖縄県に次いで2番目に多いそうだ。

私は鹿児島市内の高校に入ったが、それ以降、ずーと桜島は爆発し、降灰が続いている。先日のニュースで今の噴火は60年続いていると言っていたので、改めて桜島のエネルギーの大きさに驚嘆する。錦江湾の奥、北寄りの部分は姶良カルデラからなる。これは29000年前大噴火で形成され、桜島はその南寄りの縁を形成するように26000年前に出来てきたという。桜島は誕生以来17回の大噴火を起こし(地層の研究)、記録に残った有史以降5回の大噴火がある。

特に1914年の大正大噴火では桜島は大隅半島とくっ付いてしまい、島ではなくなった。マグマは現在、大正噴火の前の7~8割に回復しており、地震などによる地盤の歪みが圧力となり、大噴火を起こす可能性は否定できないと考えられている。

九州は阿蘇、加久籐、姶良、阿多、鬼界カルデラが並んでいる。まさに火山の上に出来た大地だ。加久籐カルデラが最深部のマグマ溜まりから噴火を起こし(じょうご型破局的噴火)、鹿児島市、宮崎市、川内など、全方位に火砕流が及び、鹿児島県庁なども飲み込まれ全滅、更に、厚い火山灰が東京まで及び北海道、沖縄を除き、ほぼ日本全体が壊滅するという恐ろしい小説がある。(「死都日本」、作者は宮崎医大を出た医師、火山おたくの石黒耀さん)。

それは日本のみに止まらず、火山灰に覆われた北半球は気温が低下し、農作物は育たず、世界的深刻な食糧危機に見舞われる。こうした破局的噴火はあり得ない話ではなく、地球という星は長い歴史の中で、こういう事態を何度も起してきた。地震では国は滅びないが、火山の破局的噴火では国が滅びると作者はいう。ボンベイが地下に埋まったベェスビィオ火山の大噴火はその例だという。

「日本は世界の陸地面積のわずか0.28%しかない国土に歴史上の大噴火の一割が集中している」(養老孟司東大名誉教授)。我々は、そんな危うい土地の上に生活し、地震、津波、火山噴火などの天災に見舞われながら、その上に町、都市を作り、再建してきた。しかし、福島の原発事故はそこに「放射能」が絡むと再建が難しい事を示している。その事を重く受け止めたい。

平成25年10月22日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦