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就任の挨拶

 今年8月から指宿医療センターの院長に就任した鹿島です。

 統括診療部長に相星先生を迎え新体制でスタートしました。前院長の田中先生は7月から鹿児島医療センターの院長に赴任されましたが、田中先生がモットーとしていた“地域に役立つ病院、患者さんのための病院”を引き続き目指したいと思います。

 指宿医療センターは現在、指宿地区で出動した救急車の約40%を受け入れています。 また、小児科領域や産婦人科領域での当院の役割は大きいと自負しており、超高齢化社会を迎えた現在、指宿地区で若い世代が安心して出産、子育てができる街づくりに貢献したいと考えています。一方では、循環器疾患や消化器疾患の救急患者の受け入れ態勢も整ってきました。急性心筋梗塞や急性心不全に対しては当院で急性期治療から慢性期リハビリまで可能です。急性消化管出血に対する緊急内視鏡治療や消化器がん化学療法にも力を入れています。眼科や泌尿器科の手術件数も増加傾向にあり外来透析も可能になりました。しかし、脳血管疾患や整形外科疾患に関しては現在、専門医が不在である為、他施設との連携を密にしている状況です。

 地域医療を考えるうえで救急患者の受け入れ態勢は重要です。感冒などの軽症患者の時間外受診は、指宿市医師会の先生方が輪番制で対応して下さります。そのため当院では比較的重症患者を受け入れることになりますが、この地域分担医療は鹿児島県の中でも特に指宿地区が充実していると思います。1次救急患者(軽症で帰宅可能患者)から2次3次救急患者まで対応するとなると医療スタッフの負担が大きくなり、重症患者の受け入れや治療に支障をきたしますが、指宿地区ではかかりつけ医や輪番医が活躍してくれているため当院では緊急紹介患者の受け入れ要請には可能な限りお応えするように努力しています。

 今年6月から新病棟がオープン致しました。内覧会には地元の方々に多数来院して頂き当院への期待に身の引き締まる思いでした。広くゆとりのある病室、充実した個室、錦江湾を眼下に収める景色は心の安らぎになると期待しています。しかし、患者さんが一番安らぐ場所は自宅であるはずです。指宿医療センターは急性期病院として救急患者さんや急性期患者さんを受け入れますが、患者さんが可能なかぎり自宅で生活できるように栄養・生活指導やリハビリを行いかかりつけ医と連携するように心がけています。

 理由は、ゴール付近で心房細動らしき不整脈が出現し、これはまずいと思ったからです。勿論、以前の様な練習量もこなせなくなり、理想とするレース運びが出来なくなったこともあります。

 超高齢化社会に突入することは避けられません。90歳以上の入院患者さんが増加し老々介護で健康を損なう患者さんも増えてきました。一方では支えるご家族の生活面での問題も多岐にわたるため、地域医療の問題は地域の社会問題でもあります。最近、地域包括ケアや在宅医療の充実に医療行政がシフトしつつありますが、医療は治療から介護、生活、予防まで俯瞰してかかわる必要があります。この点を当センター職員のみならず地域の方々とも共有し地域医療の充実に貢献できるように努力したいと考えています。

平成29年9月1日

 国立病院機構指宿医療センター 院長
 鹿 島 克 郎