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指宿 菜の花 通信(No196) 田舎医者の流儀(171)・・・薄墨桜が咲いた

 忘れかけていたら、薄墨桜が咲いたとの便りが届いた。早速、県立図書館の前庭に行った。2本の桜に200個以上(新聞報道)の花びらが咲いて、メジロが2羽花びらを突いていた。高い位置にあるので特徴のある「薄墨」の花弁はよく見えなかったが、長年期待していた開花にようやくめぐり会えた。新聞報道によると「2本の木は、鹿児島県と姉妹県盟約を結んでいる岐阜県から1990年に寄贈された。土壌改良をして14年目に初めて開花。その後も花が咲かない年が多く、昨年3月に樹木医の診察を受けていた」「今年は8年ぶりの開花」という。

 実は、薄墨桜の事はこの通信に過去2回書いている。1回目は2000年4月で「鹿児島県立図書館の前庭には平成2年に岐阜県から寄贈された薄墨桜の木がある。花を期待しながら見に行くが、今年も咲かなかった。あるいは彼の地で育っていたら、可憐な花を咲かせていたかもしれない」。2回目は2016年4月で「天気が良かったので鶴丸城跡のあたりの桜が咲いているかもと思い、自宅を出た。暖かくて、歩いているうちに汗ばむほどであった。まず県立図書館前庭の薄墨桜を見に行ったが、やはり咲いていなかった(と思った)。後で県立図書館のホームぺージを見たら皆さんお待ちの薄墨桜が咲きはじめました。花の状況が判別しにくいですが、数輪咲きはじめています」と記載され、開花した花の写真もアップされていた。しかし、少なくとも目につくほど花は咲いていなかった」。この桜を意識してから、実に22年で花に巡り合えたことになる。

 農園では今年も「つくしすみれ」が花を付けた。昨年より個体数は少なかったが、小さな可憐な花が咲いた。鉢植えにしたのもよく咲いた。すみれに詳しい家人によると、鹿児島県には2か所しかこのすみれはないそうだ。愛好家は福岡あたりから、「花見」にみえるそうだ。私の農園にどうして自生しているのか良く分からない。農園のまわりを探しても生えていないので、その貴重なすみれさんが何を気にいったか私の農園に生きている。なんだか不思議な気がする。

 年末に植えたチューリップの花が咲き始めた。黄色と赤の花を咲かせている。朝行って、花が咲いているのを見るのは楽しい。日本水仙の花も白色が鮮やかで、花ぶりも良いのでいつまで見ても飽きない。これから、利休梅、ドウダンつつじ、ブルーベリーも咲いてくるはずだ、楽しみだ。

 私は当たり前の日常を過ごしているが、ウクライナの人々の苦しみに深く思いを寄せる。理不尽な無差別爆撃に晒され、住むところを失い、電気、水道、食料もない、命すら保証されない生活を強いられている。この理不尽さを解決できない「世界」が悲しい!!

 

令和4年3月23日

国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦