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指宿 菜の花通信(No.2)「閉まるドアにご注意ください。」

私はJR指宿線で通勤し、朝6:20の列車に乗る。「間もなく発車します、閉まるドアにご注意ください」とアナウンスがある。なんだか耳に引っかかる。「ドアが閉まります、ご注意ください」の方が耳に優しいように思うが・・・・・。

今まで気がつかなかったが、九州新幹線でも同じアナウンスをしている。テープで流れる放送、車掌さんの放送も殆どが同じである。時々、車掌さんが「ドアが閉まります。ご注意ください」と言うこともあるが、不定期のアナウンスの時のみだ。JR九州のマニュアルは「閉まるドアにご注意ください」となっているのだろう。

JR指宿線は海岸線の山沿いを走っている、大雨だとすぐ運休になる。その日は大雨で、前の列車が運休、やっと運行再開となった。当然、乗客が多く、混んでいた。沿線に高校や大学があるので、高校生など学生が多く乗ってくる。

車掌さんが「中程へつめてください」と何度もアナウンスしているが、入り口付近の乗客が譲り合う気配がない。私は真ん中辺りの席に掛けていたが、中の方は空いているのにどうして譲り合わないのかと気をもんでいた。乗車に時間がかかるので、なかなか発車出来ない。遅れている列車はますます遅れる、会合に遅れてしまうと少々いらいらしてしまう。

よく観察すると、乗客の多くが携帯電話を持ち、メールをしている。同じ列車に乗っている乗客同士という、その場での人同士の繋がりではなく、携帯を通じて列車の外の人と繋がっているようだ。乗客同士という、その場の繋がりが希薄なことが、譲り合う行動に結びついていかないのかと勝手な想像をしている。

平成21年11月6日

 国立病院機構指宿医療センター 総合内科
 中 村 一 彦